「残業ゼロ法」まで待てない! コストダウンや効率アップを先取りする会社

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「残業ゼロ法」まで待てない! コストダウンや効率アップを先取りする会社

安倍政権は成長戦略のひとつとして、これまでの労働時間が主体となる賃金体系から、新たに「成果型の働き方」を提案していく方針を打ち出している。対象者は年収1000万円以上の専門職に限るというが、働きすぎを助長するとの懸念の声もある。

2014年6月17日の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)は、こうした中、残業を極力減らす「効率的な働き方」を導入し始めている企業の取り組みを紹介していた。

「無料朝食」で残業代7%削減の伊藤忠

住友商事系でシステム開発を手掛けるSCSKは、残業時間を前年比20%削減した部署には特別ボーナスの支給を始めた。達成度ごとに、ゴールドで12万円、シルバー9万円、ブロンズ6万円のボーナスが支給される。

効率的に働くため、机の前に「ノー残業」「早帰り日」などの札を掲げて、自分が何時に退社するか周りに宣言する。部署ごとに残業20%減を達成しなくてはならないため、一人でダラダラ残ることがなくなり、営業利益は前年と比べて15%アップしたという。

伊藤忠商事では5月から、残業を夜から朝にシフトさせる取り組みを始め、おにぎりなどの軽食を社員食堂で3つまで選べるサービスまで行っている。

夜8時以降の残業は原則禁止とし、午前5時から9時までの朝残業は割増率25%から50%増にしたことにより、全社で月間3,350時間の残業時間を削減ができた。伊藤忠商事の人事・総務部部長、林文彦さんは意外にもコスト削減にもつながったと語る。

「今回の措置はコスト削減が目的ではないが、結果として残業代が7%減った。無料朝食のコストを差し引いても、4%のコスト削減になっている」

成果型は「働く側も経営者も無駄がない」

一方、いち早く成果型の給与体系を実践しているのが、企業のデータ入力が主な業務のエス・アイだ。成果型の働き方を導入したことで、社員は具体的な目標を持って仕事に打ち込めるようになったという。

データ入力の際、入力文字数と正解率・仕事の難易度などを加味し、就業時間で割って時給単価が自動的に算出される。810円から、一番高くて2350円という人までいるが、これは半年ごとに更新・変動するという。

社員たちに話を聞くと、大変な面もあるが効率よくできるそうだ。ある女性社員は、「最初は戸惑ったが、会社が評価してくれるので、やりがいがある」と話した。

政府は、来年の通常国会に成果主義による新たな働き方に関する法案を提出する見通しだ。エス・アイの今本茂男社長は、このやり方を「働く側も経営者も無駄がない」と語る。

「(自社の制度は)安倍総理が言うように、実践して成果物を出しているので、まさに(成果主義と)合致するところが多いです」

課題は「評価基準」と「労使の信頼関係」

「モーレツ社員」などという言葉が流行り、長く働くことがもてはやされてきた1960年代の月間労働時間は202時間と、その働きぶりは世界を圧倒した。

バブル崩壊後、労働時間は2013年には168時間と減少傾向にあり、働き方も多様化しているが、日経新聞の日本人の働き方についてのアンケートでは、日本人は依然として「働きすぎ」と感じている人が75%。効率的な働き方の追求は、労使共通の課題といえる。

一方で、番組で大江麻理子キャスターも指摘していたが、「時間でなく成果で評価する」場合に、成果をいかに正当に評価するか、会社との信頼関係を基に「評価基準」を共有できるかが重要なポイントになってくるだろう。

労働者側からするとそこが一番の不安要素で、評価が難しい業種もある。正当に評価して貰えれば、いくらでも頑張れるという環境に身を置きたいものだ。(ライター:okei)

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