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健康診断の基準値緩まる 「ちょい太」主張してよかったと医師

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 高血圧の「異常なし」の基準値が緩められたと話題だ。肥満で用いられるBMI指数の基準値も同様に変更され、ベストセラー『がんばらない』著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏は、みずからの著書名通りに“ちょい太”で大丈夫なのだと、正常と異常の境目について論考する。

 * * *
 今年4月4日、日本人間ドック学会と健康保険組合連合会は、健康診断や人間ドックで「異常なし」とする基準値を緩めると発表した。これまでの健康の判断基準だと血圧は129~84以下となっていたが、新しい基準値では147~94以下。

 これをどう考えるか。簡単な問題ではないと思う。血圧の正常値を決めている日本高血圧学会は、この見直しを批判している。

 概算だが、この基準値が変わるだけで2200万人近くの高血圧患者が減る可能性がある。つまり、基準値が厳しいと、その分医療に関わる人や企業が潤う仕掛けになっている。肥満者は、これまでBMI指数(体重÷《身長(m)×身長(m)》で計算)で示され、25以上だったが、今回は男性27.7、女性は26.1までは問題なしとした。

 8年前、僕は『ちょい太でだいじょうぶ』という本を書いた。まさに“ちょい太”でよかったのだ。僕の主張通りになってきた。

 LDLコレステロール、いわゆる悪玉コレステロールの上限は、119mg/dl以下だった。が、今回の見直しで、男性は178mg/dlまで、女性は30~44歳で152mg/dl、45~64歳までは183mg/dl、65~80歳では190mg/dl以下なら高脂血症ではないという。

 僕は、LDLの値も少し高いのは心配なしと書いてきたので、このあたらしい基準値は、妥当な気がしている。しかし日本動脈硬化学会は、日本人間ドック学会のこの基準を批判している。

 コレステロールに関していえば、動脈硬化学会がいっている119mg/dlを超えても人間ドック学会の178mg/dlまではコレステロール治療薬を使わないで、食事に注意して治していくのが妥当。

 人間ドック学会が示した数字を超えたら薬を飲むことも考えてみるのがいいと思う。そうしたら、どれだけ高脂血症の薬が減るか。ここが大事なところだ。

 高血圧症も同じ。上が147mmHg、下が94mmHgを超えた時には減塩、体重減少、運動などの健康づくりに取り組み、すぐには薬を飲まない。出来るだけ、上の血圧を147mmHg、下が94mmHg以下になるようにコントロールしていくことが大事だ。

 人間ドック学会は、専門学会から批判を受けて、ちょっとトーンダウンしてきている。それが気がかりだ。なぜ、専門家同士が同じ舞台の上できちんと議論をしないのか。批判の応酬だけでなく、早く議論をする場を持つべきだ。

 正常と異常の境目は、ある一線を持って区切れるわけではなく、その前後をはさんでボーダーラインがあるはずだ。だから病気の治療は、その人の年齢や環境、病気への取り組みに関する生活哲学みたいなものを加味しながら、医師と患者で決めていくものだと思う。

 専門家同士、また医師と患者がきちんと話をするためには、冒頭に書いた通り、医療従事者が製薬会社から一切の研究補助や寄付金をもらっていないことが大前提。医学界の幹部はまず身の周りをキレイにしてほしい。その上で、国民の健康のために、誠実に議論しなければならない。

 今こそ、新しい医療倫理を作り上げていく時代がきているように思う。

※週刊ポスト2014年7月4日号

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