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「価格競争」に決別 独自の技術で息を吹き返した老舗「ネジ屋」と「紙パック屋」

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食器、文房具から、日用品や加工食品まで…。100円ショップで購入できる商品は、かなりの幅広さだ。安い人件費の海外から輸入された商品との厳しい価格競争にさらされ、撤退してしまった企業も数多くあるだろう。

しかし中には「安さだけの戦い」と決別し、独自の技術力で息を吹き返した老舗企業もある。2014年6月24日の「ガイアの夜明け」(テレビ東京)は、そんな二つの会社を紹介した。

「1万円を超える老眼鏡」でデザイン賞獲得
画期的な商品

国産メガネの8割を生産する福井県鯖江市。最盛期には900社以上あったメガネ関連会社は、中国製の安い大量生産品に押され500社まで減ってしまった。

その鯖江市でメガネのネジを作ってきた西村金属という小さな町工場が、自社ブランドを立ち上げ新たなヒット商品を生み出した。折りたたむと薄さ2ミリというデザイン性の高い老眼鏡「ペーパーグラス」だ。

いまや老眼鏡といえば、100円ショップに売っているものもあるほど。しかも「ペーパーグラス」は1万4580円と、老眼鏡にしては高額だ。

ところがこれをネットで売り出したところ大きな評判を呼び、生産が追いつかないほどの受注数だという。2013年にはグッドデザイン賞も受賞し、店舗からの発注も増えた。西村会長の次男で開発を任された西村昭宏さん(36)は、力強くこう語る。

「1万円を超える老眼鏡は絶対売れないと言われてきた。でも僕は1万円を超える値段で売る。この商品は絶対1万円以上の価値がある」

ペーパーグラスのヒットは、下請けだった会社の意識を変えつつある。フレームの曲げ加工を行う会社社長の萩原さんは、開発担当の昭宏さんを幼いころから知っている間柄なのだろうか、次々と新作フレームのアイディアを提案してくるという。西村さんは笑いながら、嬉しそうにこう話した。

「(萩原さんは)勝手にいろんなフレームを作ってくるワケですよ。”アキちゃん(昭宏さん)こんなのいいんじゃないか”と。ものづくりが大好きだから」

銀座のフレンチでも「高級感を損なわない」

生産が追いつかない理由のひとつは、職人の技術力を結集しなければできないからだ。ひとつメガネを作るのに、鯖江市のメガネ材料・加工・調整会社など10社ほどが携わり3カ月以上かかる。

それが弱みでもあるが、家族のような共同体から生まれる製品は、ここでしか作れない価値を生んでいるように見えた。

創業100年を超える伊藤景パック産業は、アイスやドーナツなどデザートの包装容器を製造している。新たにデザイン性の高い陶器のような紙製食器「WASARA(わさら)」を開発し、高級レストランや海外の食品メーカーとの取引を成功させていた。

東京・銀座のフレンチレストランでは、2700円のランチ「ギンザ・ボックス」にこの紙容器が使われていた。普通の紙皿なら100円ショップにも売っているほどだが、「ベージュ アラン・デュカス東京」総支配人のポティエ氏はこう否定する。

「WASARAは、安物の使い捨て食器とは違う。うちの店で使用しても、高級感を損ないません」

“峠の釜飯”で有名な「おぎのや」も、伊藤パック産業の紙容器を採用している。釜の風合いを残しながら、本物の釜より格段に軽い容器で持ち帰り用の選択肢を増やし、商圏を拡大させていた。紙食器はひとつ100円と割高だが、ブランドイメージを守りたい超大手企業の心をつかんだのだ。

ヒット商品にも、やがて飽きられ廃れるときが来るのだろう。しかし時代が変われば、それに対応しなければ生き残れないのも当たり前だ。西村金属が美術館や海外に勢力的に営業をかける姿勢を見ていると、これを足がかりに更なる成長を遂げそうな勢いが伝わってきて、国内のものづくりの現場が元気を取り戻す瞬間を見た思いがした。(ライター:okei)

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