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ミック・ジャガーは「いいよ」、オーソン・ウェルズは「出たくない」『DUNE』キャスト秘話

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『ホドロフスキーのDUNE』 短期集中連載
第三回 幻の超大作『DUNE』をめぐる奇想天外な大冒険<キャスト編>

ヨーロッパとアメリカ大陸、ホドロフスキーの奔走は続く

映画はお金を生み出すものではなく、人生を変える芸術であるべきである。
『DUNE』の映画化を決意したアレハンドロ・ホドロフスキーは、世界から最高の芸術を生み出すための戦士たちを集める。監督する自分自身の中にあるイマジネーション、キャラクターたちの姿はもちろん、宇宙空間に無限に広がる未知なる世界と、そこで繰り広げられる冒険の数々。イメージがヴィジュアライズされ、遂にキャスティングが始まる。スクリーンに息づくキャラクターを厳選したホドロフスキーの、世界をまたにかけた奔走が再び始まった!

世界のセレブ、サルバドール・ダリをめぐる三都物語

スペイン生まれのシュルレアリズムの作家、サルバドール・ダリ。
世界の誰もが知るアート界のセレブリティであるダリは、世界を旅するアーティストだ。シンボルであるヒゲ、存在そのものがダリ。
常に信念が導く確信で行動するホドロフスキーにとって、銀河帝国の皇帝はダリしかいない。ニューヨーク、パリ、ミラノ…。1ヶ月ごとに移動先の都市に呼び出されながら、ミーティングを続ける。遂にダリはホドロフスキーにある条件を出す。「君の映画に出ても良いが、世界で最も高いギャラをくれ」とダリは言う。”最高のギャラ”というステイタスを求めだのだ。そこでプロデューサーのセドゥーは妙案を思いつく、出演時間1分間に対して10万ドルという条件を出したのだ。メビウスが描いた絵コンテで出演時間を逆算するセドゥーとホドロフスキー。その姿は、まるでお小遣いをどう使うかを相談するワンパク少年みたいだ。

(画像:ダリと銀河帝国の皇帝)






天才オーソン・ウェルズは「映画には出たくない」と一蹴

アメリカ出身で、演劇のメッカであるエジンバラで頭角を現した俳優にして映画監督のオーソン・ウェルズ。「バラの蕾(ローズバッド)」という謎めいた言葉で観客を魅了した傑作『市民ケーン』(41)で、製作、監督、脚本、そして主演をつとめた天才である。東京のJR恵比寿駅で列車到着を告げるBGMでも耳になじみが深い『第三の男』(49)の演技も秀逸だ。
ホドロフスキーは、『ホドロフスキーのDUNE』で、ウェルズの監督作品で、フィルム・ノワールである『黒い罠』(58)のロングショットを引き合いに、『DUNE』の冒頭イメージを語っている。いかにウェルズが映画に対して造詣が深いか、そして自分が描く宇宙空間はどう描写されるのか。そんなオーソン・ウェルズは美食家としても知られ、シェイクスピアが生んだ架空の人物『フォルスタッフ』を映画化した際は、巨漢の騎士~まさに肥満の騎士~になりきっていた。
1975年、最後の監督作品となる『オーソン・ウェルズのフェイク』が完成したばかりのウェルズは、「もう映画には出たくない」と素っ気ない。どうしたら口説けるのかと思案したホドロフスキーは妙案を思いつくのだが、それは本編でご確認いただきたい。

(画像:オーソン・ウェルズとハルコネン男爵)






ミック・ジャガーは「いいよ」と言った!

ゴダールのドキュメンタリー『ワン・プラス・ワン』(68)で映画デビューを果たしたミック・ジャガーも、ホドロフスキーが選んだ戦士のひとり。
「ある日、パリでブルジョワが集まる盛大なパーティーに招かれた。大きな部屋の向こうにはミック・ジャガーがいた。遠くから彼を見ていると、彼が私を見たような気がした。人をかき分けながら彼は歩き始めた。私の方に向かってね。そして目の前に立った。『私の映画に出てほしい』と伝えると、『いいよ』とミックは言った」と振り返る。
ニューヨークではウォーホルのファクトリーでウド・ギアに会い、ロスではカンフーの達人としても知られるアクション俳優デビッド・キャラダインとの交渉に成功する。
そして、『DUNE』の未来を託す存在であるポール役には、最愛の息子ブロンディスを起用することに決め、日々の猛特訓を開始させる。

『DUNE』の伝説は、ハリウッドから生まれた?

ホドロフスキーが世界から集めた戦士たち。その陣容がパリで整ったとき、プロデューサーのセドゥーは深刻な金銭的問題に直面していた。資金が足りないのだ。
幸いにして、精鋭スタッフたちによる絵コンテやイラスト、イメージは揃っていた。セドゥーは一計を案じ、後に伝説となる『DUNE』ストーリーボードを作る。イメージの数々と詳細な絵コンテを見せることで、ハリウッドから新たな資金を得ようとしたのだ。
ディズニー、パラマウント、ワーナー・ブラサース、ユニバーサルと、どのメジャースタジオを訪れても、彼らは首を縦に振ることはなかった。
だが、その時にメジャースタジオに持ち込まれた『DUNE』ストーリーボードは、その後の映画製作に多大な影響を与えるSF映画のバイブルとなる。皮肉なことに、ハリウッドから伝説が生まれたといっても過言ではないのだ。その真実を確かめるための最も簡単な方法こそ、『ホドロフスキーのDUNE』を観ることだ。さぁ、劇場に急げ!

(画像:『DUNE』ストーリーボードと絵コンテの一部)






最終回は「最新作『リアリティのダンス』が示すこと」と題して、ホドロフスキー監督の精神的奥義に迫ります。ご期待下さい。

『ホドロフスキーのDUNE』は、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほかで公開中!

★『ホドロフスキーのDUNE』公式サイト http://www.uplink.co.jp/dune/

『リアリティのダンス』は、7月12日(土)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほか、全国順次公開!
★『リアリティのダンス』公式サイト http://www.uplink.co.jp/dance/

★Edited By T-Basic.Inc. http://www.t-basic.com

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