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米国 尖閣で中国を牽制するが軍事対決するつもりは毛頭ない

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 今年4月に来日した米国・オバマ大統領は「尖閣諸島は日本の施政権下にあり、日米安全保障条約第5条の適用範囲にある」と言明した。しかし、財団法人「ディフェンスリサーチセンター」専務理事の杉山徹宗・明海大学名誉教授は「中国に軸足をシフトさせつつある米国には日本を守る意思も覚悟もない」と警鐘を鳴らす。

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 21世紀に入り、アフガンやイラク戦争で財政が悪化した米国は国防費の大幅削減を強いられ、「世界の警察官」から「地域の警察官」へと規模を縮小しつつある。一方の中国は、米国との経済関係を緊密化しながら「A2/AD」(米軍の接近阻止・領域侵入拒否)と呼ばれる海洋軍事戦略を着々と推進してきた。

 2025年までに原子力空母6隻、原潜20隻を配備し、米軍に東アジア防衛を諦めさせるのが狙いで、将来的に米国と太平洋を分割支配することを画策している。そうなれば、中国は「米中安保」を呼びかける可能性が極めて高く、米国も中国との同盟関係を模索せざるを得なくなるだろう。

 かつて米国は中国を「戦略的コンペティター(競争者)」と呼び、同国の軍事膨張に警戒の目を光らせていた。ところが現在では中国を「ステーク・ホルダー(利益共有者)」に格上げし、まるで同盟国のように扱っている。

 昨年4月に初訪中したケリー国務長官は「米中という世界最強の2か国が国際社会の隅々まで目配りすれば相乗効果が生まれる」と述べ、中国要人から喝采を浴びた。近い将来を見据え、「今から米中両国で世界を仕切っていこう」というメッセージを中国側に発信したのである。

 そもそも米中は基本的に過去100年に亘って友好関係を保っており、朝鮮戦争やベトナム戦争はあっても直接干戈を交えたことはない。米国は「日米安保」の建前上、尖閣を巡る中国側の動きを牽制しているが、軍事対決するつもりなど毛頭ないのだ。

 尖閣や竹島問題以来、米国では中韓の反日政策を支持する動きが強まっている。米政府が靖国や従軍慰安婦問題で中韓と歴史認識の歩調を合わせているのは、日米戦争における自国の不都合を隠蔽し、日本の台頭を封じ込めるのに好都合だからだ。戦前から今日に至るまでの謀略史を紐解けば、米国が基本的に中韓と同じスタンスの対日感情を有していることが理解できる。

 米国は過去の日米戦争における真珠湾奇襲攻撃や特攻隊の玉砕などを「非人道的行為」として批判し続けてきたが、自分たちが行なった原爆投下や日本本土への無差別爆撃に関しては一切口を閉ざしたままだ。

 それどころか多くの米国人は、「日本が卑怯な奇襲攻撃をしたのだから、米軍による非人道的行為は当然許されるべき」と考えている。一般人だけではなく、政治家や対外政策を立案するオピニオン・リーダー、有識者と呼ばれる人々も同様だ。2001年9月11日の米・同時多発テロを受け、当時のジョージ・W・ブッシュ大統領が「これは戦争だ。真珠湾を奇襲した日本海軍を思い起こす」と述べたことがそれを物語っている。

※SAPIO2014年7月号

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