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安倍首相 河野談話継続・慰安婦問題謝罪に追い込まれた背景

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 安倍首相は得意の“緊急会見”で北朝鮮の拉致被害者再調査の合意を誇ってみせた。典型的なまやかし政治だ。これまで北朝鮮は何度も再調査を約束し、そのたびに「見つからなかった」「他に拉致被害者はいなかった」とゼロ回答してきたではないか。この段階での経済制裁解除など北朝鮮の丸儲けだ。金正恩はさぞ笑っているだろう。このインチキ外交をお膳立てした「黒幕」を、ジャーナリストの武富薫氏が暴く。

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「総理と毎日会う男」──官邸内でそう呼ばれている官僚が斎木昭隆・外務事務次官だ。新聞各紙の「首相動静」を見ると外遊や地方視察のとき以外、首相はほぼ毎日、官邸に斎木氏を呼び入れていることがわかる。「外交は斎木次官が一手に握り、総理は斎木氏の振り付け通りに動いている。今回の北朝鮮との交渉も斎木氏の主導だった」(内閣官房の官僚)と言われる。

 その影響力は外交にとどまらない。集団的自衛権の行使容認をめぐっては、防衛省・自衛隊には実は慎重論が強い。それに対して「日米同盟の強化」を理由に首相を前のめりにさせているのが、集団的自衛権行使に積極的な斎木氏を中心とする外務官僚たちだ。

 アメリカンスクール(外務省の派閥の一つ)出身の斎木氏が次官就任後、最も重視したのが米国との関係修復だった。昨年12月の安倍首相の靖国神社参拝に中韓が反発し、米国大使館や国務省までが批判声明を出して、予定されていたオバマ大統領の来日に暗雲が立ちこめると、首相は“尻ぬぐい”を斎木氏に委ねた。

 米国側は日本政府にまず慰安婦問題でこじれている韓国との関係改善を要求した。そこで安倍首相は今年3月、斎木氏を特命で訪韓させる。通常、各省の事務次官は国内にいて国会答弁にも出ない不文律がある。外務省には外交交渉を担う次官級の外務審議官が2人いて、事務方トップの次官自ら海外で交渉にあたるのは異例のことだ。

「総理は外務省不信が強く、信用しているのは斎木次官と外交ブレーンの谷内正太郎・国家安全保障局長くらい。外務省は官邸に『次官を韓国に出しても意味がない』と反対したが、総理は『じゃあ外務省は何のために存在しているんだ』と言って聞かなかった」(外務省幹部)

 しかし、斎木訪韓は完全な失敗に終わる。斎木氏は当初、3月12日から2日間の日程で訪韓した。韓国側が夕食会を用意すると伝えてきたからだ。だが、趙太庸・外交部次官との交渉がいきなり決裂し、夕食会もドタキャンされ、「怒った斎木氏は日本への最終便の出発時間を遅らせて急遽、その夜のうちに帰国した」(同前)のである。

 結局、安倍首相は米国の圧力に屈しきれず、3月14日の国会答弁で河野談話見直しについて、「安倍内閣で見直すことは考えていない」と撤回し、慰安婦に対して「筆舌に尽くし難いつらい思いをされたことを思い、非常に心が痛む」と謝罪に追い込まれた。頼みの綱の斎木氏が失敗すれば安倍首相は何もできずに謝るしかなかったのである。

※SAPIO2014年7月号

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