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高級イヤホン市場が成長 スマホ普及と音源データ品質向上で

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 スマホで音楽や動画を楽しむ人が増えたいま、イヤホンは必需品だ。付属品や高くてもせいぜい数千円までにおさめていたのが、最近は数万円するような高級イヤホンが人気を集めている。『テルミン―ふしぎな電子楽器の誕生』の著者で神奈川大学非常勤講師の尾子洋一郎さんも、二人の大学生から3万9800円のイヤホンを購入したと聞き驚いた。

「二人とも米国の音響機器メーカー、アルティメット・イヤーズが5月に発売したイヤホンUE900sを購入していました。大学生にとって3万9800円は大きな買い物だと思いますが、迷わなかったそうです。一人は生の音が好きでクラシックをよく聞いていて、もう一人はアニメソングやポップスなど抵抗なくなんでも聞くけれど、クラシックはまったく聞かない。でも、二人とも『よいイヤホンだと音が全然違う』と口をそろえて言います。

 以前はイヤホンといえば耳にフタをするだけのものでしたが、今は耳栓のように奥まで入れます。高級品になるほど、自分の耳穴の形にぴったりするものをパーツ単位で選べますし、ケーブルも好きな機能やデザインのものへ交換できます。高級品ほど臨場感のある音を楽しみやすいといえるでしょう。一種のノイズキャンセリング機能を持つので、学生たちに言わせると集中したい時はヘッドホンよりもイヤホンを使うそうです」

 イヤホンはコンパクトなので外出先で邪魔にならず、ヘッドホンのように髪型が崩れないのも利点だ。音質の違いで選ぶ一方、デザインも重要で、キラキラしたカラフルなものや、「b」のロゴが印象的なビーツ・エレクトロニクス社のdr. dreシリーズも人気を集めている。そして、イヤホン人気は若者だけではなく、中高年にも広がっている。

 イヤホン・ヘッドホン専門店の「イーイヤホン」を運営する株式会社タイムマシン広報の松田信行さんによれば、「イヤホンの売上ボリュームが圧倒的に多いです。また、スマホの普及で幅広い年齢の人が外で簡単に音を楽しむようになった影響も大きいと思います」という。試聴できる店舗では、実際に音を耳にすると価格が高くてもそちらを選んでしまう人が多いそうだ。

「良いイヤホンで、より濃密で輪郭がはっきりした音を体験してしまうと、もう元に戻れません。平均購買単価は1万5000円くらいですが、20万円を超えるものもあります。値段やメーカー、ブランドよりも音の聞こえ方で選んでいるお客さんが多いですね。1万円以上の製品だとケーブル交換などパーツを換えて楽しめますし、音楽やTPO、気分に合わせて複数のイヤホンやヘッドホンの中から低音に強いとか、デザインで使い分けるユーザーも増えています。

 一昔前は、データ音源はノイズや圧縮により音質は期待できないものでした。今年はハイレゾ専用プレイヤーが発売され、ハイレゾ音源のデータ配信が本格的になり普及期に入っています。音楽を携帯して聴くのは若者というイメージが強くありましたが、年齢に関係なく、高音質のデータをスマホにストレージして移動時間に良いイヤホンで聴く、というスタイルが普通のことになりつつあります」

「イーイヤホン」は2007年の創業からイヤホン・ヘッドホンの専門店だが、年商は前年比170~180%増が続いている。主催する「ポータブルオーディオフェスティバル」では500機種以上を試聴できるが、6月28、29日の第5回は3万人の来場が見込まれている。イヤホン・ヘッドホン市場に参入するメーカーも数多く、最近は中国系メーカーも高品質な製品を送り込んでおり、ますます活発になりそうだ。

 結局、高級イヤホンに手を出してしまうのは、手をかけるほど音が変わってゆくことも大きな理由だろうと前出の尾子さんは言う。

「正直、うまく説明できないけれど音が違う、という人が大半だと思います。でも、ケーブルの材質を付属のものから『PCOCC』(単結晶状高純度無酸素銅)素材を使用したものへ変更するだけで、音がより濃く、はっきりして臨場感が増します。手をかけるほどよくなってゆくから、止まらなくなりますよね」

 洋服を買うのに機能性だけで購入する人は少ないのではないだろうか。デザインやTPO、目的にあわせてさまざまに使い分ける。イヤホンも、機能を求めるだけのものから多種多様な目的や満足を満たすものへと進化しつつあるのかもしれない。



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