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アマゾン スマホ参入は「消費者データの収集が狙い」と識者

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 世界で2億人以上の顧客を持つといわれるネット通販最大手の米アマゾン・ドットコム。いまや単なるECサイトにとどまらず、小売りや製造業にまで“侵食”するIT業界の巨人の次なる標的は「スマートフォン(スマホ)」だ。

 同社は6月18日にシアトルで新製品発表会を開き、独自開発のスマホ『ファイアフォン』を7月25日に発売すると大々的に発表した。

 価格は独占販売権を持つ米通信会社AT&Tの2年縛りで199ドル(約2万円)と格安。一括購入でも649ドル(約6万5000円)と、競合する『iPhone』(アップル)よりも安い価格設定で勝負を挑んできた。

 ファイアフォンはどんな機種なのか。モバイル評論家で青森公立大学経営経済学部准教授の木暮祐一氏に解説してもらった。

「スペックだけを見ると決してハイエンドなモデルではありませんが、アマゾン独自の機能をいくつも詰め込んでいるのが特徴的です。3D(3次元)で画像表示をしたり、カメラで頭の動きを認識して自動でページを進ませたりもできます。

 また、もっとも優れているのは物体認識です。カメラを物体に近づけるとスマホが認識し、アマゾンの通販サイトで売っている商品ならばダイレクトに購入できるという仕組みです。つまり物販への“入口ツール”としてスマホを活用しようという狙いです」

 日本でもアマゾン通販を利用している人は多く、同社の2013年12月期の日本における売上高は76億3900万ドル(約7400億円)と、国内の通販企業で最大規模を誇る。日本でアマゾンスマホが売り出され、通販がさらに便利になれば本業を脅かされる小売りも増えるはずだ。

「すでに家電量販店は“ショールーム化”しており、価格比較サイトを見ながら値引き交渉してくるお客さんが多いのが現状。そんな中、アマゾンのスマホを片手に商品を見るだけの人が増えたら営業妨害もいいところ。使い方のモラルが問われてくると思います」(大手家電量販店幹部)

 もちろん、そんな戦々恐々の家電量販店にはアマゾンスマホは並ばないだろうが、そもそも販路は小売りのみならず、通信キャリアの窓口さえ扱わない可能性もあるという。

「アマゾンはすでにMVNO(仮想移動体通信事業者)と組み、電子書籍リーダーの『キンドル』専用の格安SIMカードを売り出しています。今回のスマホもSIMとの抱き合わせで自社のウェブサイト経由で売り出せば、特別な販路は必要ありませんし、電話会社のキャリアと組まなくてもいいのです」(前出・木暮氏)

 とはいえ、アフターサポート面も含めて、まだ“キャリア信仰”が根強い日本。iPhoneのようにキャリアと組んで売り出したほうが安定した普及も見込める。その道を選ばないとすれば、理由は何なのか。

「これまでPCを通じてしか情報を取れなかったユーザーのウェブ閲覧履歴や消費行動のデータ収集が、スマホ販売によって時間や場所も細かく把握できるようになる。アマゾンはこうした莫大なビッグデータを商品マーケティングに繋げようとしているため、他社に情報を握られる連携は極力避けたいと考えているはずです」(木暮氏)

 IT専門誌の記者はこんな指摘をする。

「最近、アマゾンはデータを管理するクラウドサービスにも熱心で、日本の大手企業も続々と導入しています。レンタルサーバー事業は格安かつピーク時の容量を自動で調整してくれるなど好評を博しています。

 そう考えると、どの企業のどんなサービスにアクセスが集中しているのかなど、すでにネットワークを活用する企業の情報はアマゾンに筒抜けになっているといっても過言ではありません」

 アマゾンのカリスマ創業者、ジェフ・ベゾスCEOは、多品種少量購入のビジネスモデル「ロングテール戦略」を軌道に乗せた経営者として知られる。たとえ赤字でも価格競争力をつけて競合他社を叩き潰した後に、大きな収益を取るという先を見越した経営手法はお手のものだ。

 早晩、日本でも売り出されるだろうファイアフォンで、アマゾンはどこまで日本の市場支配力を高めることができるだろうか。



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