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「太ってる男性はやせている男性より不健康は嘘」の根拠解説

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 6月12日に福岡国際会議場で開かれた日本老年医学会学術集会で、これまでの老後の常識を覆す研究結果が発表された。東京都健康長寿医療センター研究所の「社会参加と地域保健」研究チームが行なった調査で「やせた男性は太った男性に比べて介護が必要になるリスクが2倍」という結果が出たのだ。
 同チームは2002年から2012年までの10年にわたり、群馬県草津町で高齢者健診を受けた計1620人について追跡調査。肥満度を表わす指数「BMI(体重を身長の2乗で割った数値)」や「総コレステロール」、肉や魚を多食することで増えるたんぱく質の「アルブミン」や「ヘモグロビン」の値に注目し、それぞれの項目について数値の高低で住民を4つのグループに分けた。チームリーダーを務めた同研究所の新開省二・研究部長が語る。
「各グループにおいて、初診時には介護が不要だったが、その後に要介護状態となった人の割合を調べました。すると特に男性で大きな違いが出てきます。BMIが最も低い『やせたグループ(BMI15.9~21.0)』は、最も高い『太ったグループ(同24.9~39.9)』よりも、要介護状態になるリスクが1.9倍も高かったのです」
 身長170cmの男性であれば体重60kg以下(BMI約21以下)よりも70kg以上(同約25以上)のほうが、老後のリスクが低いというのだ。また他の数値でも同様に、やせているほど要介護リスクが高かったという。
「総コレステロール値が最も低いグループ(118~170mg/dl)は、最も高いグループ(216~313mg/dl)の1.8倍の要介護リスクがあることがわかりましたし、アルブミンなども同様の結果が出ています」(同前)
 これは健康診断などで用いられる診断基準と大きな齟齬(そご)がある。
 日本肥満学会が定めた判定基準では、BMI18.5以上25未満が「普通体重」、それ以上が「肥満」とされる。同じく動脈硬化学会は2007年まで高脂血症(現在は脂質異常症と呼ぶ)の診断基準を総コレステロール値220mg/dl以上としてきた(現在はLDLコレステロール値140mg/dl以上)。
 要は太っているほどリスクが高いとされてきたが、新開氏らの調査結果は逆で、数値が基準を下回る、やせた“健康な人”ほど老後のリスクが高まるというのだ。その理由について新開氏が解説する。
「健康のために粗食を心がける高齢者は少なくありません。たしかに玄米や魚にはビタミンやミネラルが豊富に含まれていますが、やり過ぎは問題。肥満や高コレステロールに注意が必要なのは比較的若い人で、体力低下や噛む力が衰えがちな高齢者にとって粗食は『低栄養状態』につながって老化を促進、寿命を縮める恐れがあるのです」
 新開氏によれば、高齢者が要介護状態になる理由は大きく2つある。1つは脳卒中や心筋梗塞の発作などにより身体機能が悪化する場合。もう1つは、長い時間をかけて徐々に体力や運動機能が衰え、やがて寝たきりになるパターンだ。新開氏が続ける。
「後者こそ典型的な老化現象で、そうした症状はやせた人に多い。体力や運動機能を維持するには体を動かさなくてはなりませんが、その材料は動物性たんぱく質を含めた栄養から供給される。行き過ぎた粗食は危険ということです」
※週刊ポスト2014年6月27日号



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