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対露関係に佐藤優氏「官邸はイスラエルと協議するのが有益」

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 ウクライナ危機を巡ってロシアと欧米諸国の緊張が増す中、プーチン露大統領が描く「外交勝利のシナリオ」で日本は最も重要な役割を担う可能性がある。ただし、安倍政権に好意的なサインを送るクレムリンに接近すれば、同盟国・アメリカの不興を買う。危ういバランスの中で日本が国益を守るためには、今までにない発想で連携相手を探す必要がある。作家・元外務省主任分析官の佐藤優氏が綴る。
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 ウクライナ危機を巡りロシアと米国、EUの関係が緊張を増しつつある中で、安倍政権はG7(日米英仏独伊加)との連携という建前を維持しつつ、ロシアとの関係を崩さないように、細心の配慮をしている。
 ロシアは日本政府のそのような姿勢を肯定的に評価している。例えば、6月2日の「ロシア文化フェスティバル」記念レセプション(会場・帝国ホテル)に参加するためのナルイシキン国家院(下院)議長の来日を日本が認めたことだ。米国やEUは、ナルイシキンに対して渡航禁止措置を取っている。5月14日の記者会見において、菅義偉官房長官はナルイシキンについて「日本の渡航禁止のリストに入っていない」と強調した。
 クレムリンは、米国、EUと一線を画した日本政府の決定を歓迎している。複数の筋から筆者のところに入ってくる情報によると、ホワイトハウス(米大統領府)は、ロシアに対して、米国・EU・日本が一枚岩になって対応すべきであるのに、日本だけが抜け駆けをしているのではないかと苛立ちを強めている。ウクライナ問題、対ロシア外交に関する米国との調整が日本外交の「宿題」となっている。
 安倍政権の対露政策が、G7の基本方針から大きく乖離しているわけではないにもかかわらず、ロシアは日本の政策については好意的に解釈する傾向がある。クレムリンだけでなく、ロシアの政治エリート全体が安倍政権に対して好意的だ。
 その理由は、ロシアが帝国主義的な勢力均衡外交を展開しているからだ。クレムリンは、ウクライナ危機が米露、中露、日露、独露、日米、日中、米中の関係にどのような影響を与えるかについて入念な分析をした上で、ロシアの国益を極大化する外交政策を追求している。
 日露関係は、その中でもっとも振れ幅の大きくなる可能性がある変数とロシアは見ているのだと思う。そのことを考慮した上で、今秋に予定されているプーチン大統領の公式訪日を予定通り実施するか、延期するかについて、クレムリンは慎重に検討している。
 ウクライナ問題に関して、米国からイスラエルに対して対露制裁に加わるようにとの強い働きかけがなされているが、国内にロシア出身の移民を多く抱えるネタニヤフ政権はプーチン政権との関係悪化を懸念し、米国の要請に従っていない。米国との関係を考慮した場合、どこまで対露関係で自主外交を行なう余地があるかについて、インテリジェンス・チャネルを用いて首相官邸がイスラエルと協議することが有益と思う。
※SAPIO2014年7月号



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