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中山美穂が主演するNHKドラマは「気の毒な展開」と女性作家

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 ネット掲示板やSNSで論評が交わされることで、ドラマウォッチャーたちの目は肥えてきている。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

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 夫婦はともに有名人。夫は芥川賞作家、妻は元トップアイドル。離婚協議中というだけでも話題を集める中、敢えて「プラトニック」(NHK・BSプレミアム、日曜22時~)という恋愛ドラマに出演した中山美穂。

 相手役は、ジャニーズの堂本剛。脚本は「明日、ママがいない」で物議を醸したばかりの野島伸司。山の手線・原宿駅の構内にデカデカと巨大ポスターを貼り、中山美穂は繰り返し番宣に登場。これで見ない人はいない? と思うほど注目される準備は整った。ダメ押しで、有名音楽家との不倫?騒動までが報じられ--。考えられるお膳立てはすべて整い、「欠けている点」は一つもなさそうに見えた。 

 そして始まったドラマ「プラトニック」。

 中山美穂が演じる沙良は、心臓疾患を抱える娘の治療を願うシングルマザー。ネット上で「僕のハートを差しあげます」と書き込んだ、ミステリアスな青年・堂本剛と出会う。青年は脳腫瘍を患い、余命いくばくもない。二人は運命的にひかれあって……。

 心臓移植。自殺志願サイト。包丁を振り回す元夫。名も知らない青年との同棲。これでもか、これでもか、と濃い味つけの素材を散りばめる。刺激で視聴者の気を惹こうと奮起する野島脚本。

 テーマは、命そのもの。それなのに。何かが足りない。何が?  と思いながら画面を見つめていて、はっと気付きました。

「命を扱う」ドラマなのに、各シーンに決定的に足りないのです。「緊張感」が。

 中山美穂と堂本剛、二人がいるお茶の間にはまったりとした空気が流れる。泣いても叫んでも、アイロンかけても、コンビニでレジを打っても、その顔は中年ミポリンのまま。

 表情も化粧も崩れない。シワも寄らず、髪の毛も乱れない。ギリギリの命をかけた物語なのに、緊迫感も感情のぶつかりあいも、もやもやっとした霧のむこうの小芝居に見える。

 きっと、事前に話題を仕込むのと同じくらいに、演技指導や稽古や練り上げた演出が必要だったのではないでしょうか。そうしなければ、「命をかける」ような緊張感なんて、簡単には画面から伝わってこないのでは。

 中山美穂主役の恋愛もの、という話題先行型企画に無理がありすぎたか。これじゃ、役者もかわいそう。と、演じる人に同情しながら見なければならないドラマって、いったい何なんでしょう。

「あってしかるべき」の中心的な要素が、足りなかったドラマ。まだあります。例えば6月8日放送の「みをつくし料理帖」第2弾(テレビ朝日系)。

 料理の話なのに、何かが足りない。何だろう?  「料理のシズル感を出すために、あえてごまかしのきかないハイビジョン撮影を選択しました。クリアで自然な色味にこだわりました」(「オリコンスタイル」)と語っていたプロデューサー。

 けれども冒頭から延々と説明セリフが続いていく。どうにもシズル感までたどりつけなかった。匂い、気配、音。言葉に頼らず、もっともっと五感を揺さぶるような映像や演出が見たい。

 そして、3つ目の残念は「ルーズヴェルト・ゲーム」(TBS系日曜9時)。前作の「半沢直樹」が「倍返し」という明快なテーマでぐんぐん展開したのに比べて、今回のドラマは足りません。爽快さが。

 会議と野球のシーンばかりが目につく。あってしかるべき「痛快」さがどうにももの足りない。「スカッ」とする瞬間こそ、視聴者が待っていたものなのに。

 前作「半沢直樹」の舞台だった「銀行」のわかりやすさに比べ、今回の舞台は電子部品メーカー。イメージセンサーという専門的な部品の開発をめぐる話。普通の生活からは遠くて想像しにくい。もやもやする原因の一つでしょう。

 その上、野球というテーマにもわかりにくさが潜む。草野球経験を持つ男性たちはとっては、とてもわかりやすいのかもしれませんが、お茶の間の半分は女性。多くの女にとって、野球をめぐる興奮は伝わりにくい。ピンとこないし興味を持ちにくい。そのあたり前作ほど視聴者層が伸びない原因かも。

 脚本、演出、役者が三位一体となりそれぞれのクオリティが揃ってこそ、多くの視聴者がついてくる時代。ちょっと有名なアイドルやジャーニーズ系が主役なら見てもらえるとか、ベストセラーや人気スポーツを使えば大丈夫、といった時代は終わりつつあるのかもしれません。



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