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BELLRING少女ハート、2回目の壁をぶち破った渋谷クアトロ・ワンマンーーOTOTOYライヴ・レポート

BELLRING少女ハート、2回目の壁をぶち破った渋谷クアトロ・ワンマンーーOTOTOYライヴ・レポート

余計なことを考えるのは、もうやめた。目の前で起こっているハプニングのような出来事の数々に身を任せることにしよう。2014年6月8日(日)、渋谷CLUB QUATTROで行なわれた、BELLRING少女ハートにとって2回目となるワンマン・ライヴは、定番やお決まりといった要素がまったくない3時間半越えのステージとなった。

この日の注目ポイントは2つ。1つは、700人キャパの渋谷クアトロでのワンマンを成功させ、キャパ的に大きなステージに進むことができるのか。もう1つは、現場慣れしているコアなファン以外のお客さんも巻き込むだけのライヴができるか、ということだった。

熱気と高揚感でうわついた会場には、ベルハーのワンマンでは当然のごとく関係者席は用意されていなかった。昨年渋谷WWWで行なわれた1stワンマンでも、運営はゲスト枠を設けず、関係者の数を集計していなかった。無理矢理人を集めて客席を埋めようという姿勢は、はなからこのグループにはないようだ。本当におもしろいと思った人たちが集まる場所。そういう無言のプライドをそこから感じるのは、考えすぎだろうか。実際、蓋をあけてみれば、クアトロは満員、会場が狭く感じるくらいの印象さえ受けるくらいだった。

そんななか行なわれた、約3時間半のワンマン・ライヴ。オープニングに登場した、ベルハーのサイケな楽曲を手がける宇田隆志率いるBELLRING中年ハートが、ゲスト・ヴォーカルを呼び込みソウルフルなライヴを30分近く行ったかと思ったら、ベルハーのメンバーをしれっと呼び込み、イベント・タイトルの元となったと思われるThe Monkeesの「(I’m Not Your)Stepping Stone」を生演奏。本編では、“HELなおじさん”ことBIKKE(TOKYO No.1 SOUL SET)が所属するヒップホップ・ユニット、HELクライムが登場し、ベルハーとともに茶番的な学園劇を繰り広げ、「ライスとチューニング」を披露。そして「the Edge of Goodbye」の前にモヒカンのMC、SUPERSTAR BUTCHが登場し、「乗るしかない、このビッグウェーブに」と観客たちとコール&レスポンスをする。「これ、いる?」という声があがりそうなくらい過剰な演出だが、これこそベルハーの神髄。すべてがピースとしてはまっているのである。

しかし、言ってしまえば、上記はお祭り的な要素。そうしたスペシャル的な要素以外に定番や型を感じさせなかったのは、ベルハーの楽曲とパフォーマンスそのものだった。この日、持ち曲全曲を披露した彼女たち。ノリのよさを無視するかのような曲順で、こちらが予想するセットを裏切っていく。興味深かったのが、そのたびに楽曲のおもしろさを改めさせて気づかせてくれることだった。これが意図的かどうかは置いておいて、セットリストを考えた人間は、相当狂った、そして挑戦を恐れない人間だと思う。普通はもう少し流れを考えて、アップテンポな曲や盛り上がる曲をまとめるなどするが、このグループにはまったくそれがなかった。しかも、期待を裏切られたかと一瞬思わされるのに、なぜだかどんどんその楽曲に吸い込まれていく。不思議なドーパミンがじわじわ出てくるようだった。

ステージ上のメンバーたちは、黒い羽根つきの制服に身を包み、汗だらだらで歌い、ダンスをしていく。肩を全力で地面に叩き付けるように振る姿は、ダンスというよりも、反復作業のようで狂気じみてさえ見える。全員のダンスが揃っているわけではないし、声もでない部分も多い。それなのに、本人たちがより上手くと試行錯誤して発する声が、違和感を生み出しながらも楽曲に絡みつき、なんとも言いがたい癖になっていく。言いたいことがあるのかないのかわからないMCからは、メンバー同士の個性のぶつかりあいが伝わってくる。彼女たちがなにを発するのか、どう動くのか、どれも予測不可能で、それが興味をそそっていく。とはいえ、彼女たちはダンスのレッスンを重ねており、メリハリやリズム感など基礎はしっかりしている。それをストレートに発揮させないくらいの楽曲やダンスのはげしさ。そこから生じる真剣勝負なズレが、このグループのおもしろさを存分に発揮させている。

本編が終わり、アンコールがはじまるかと思った際には、筋肉ムキムキの外国人たちが無言でステージ上に現れ、警備をするかのようにステージ後方に用意された手作りの壁の前に立ちはだかった。しばらくして壁がもそもそと動きはじめ、彼らが壁を押さえるが、それを突き破りメンバーが登場。壁を突き破る演出は1stワンマンでも行なわれたが、今回はこれだけのためにマッチョな外国人にオファーしたのだろう。これだけのために? という演出に、笑いというよりも、どよめきと異様な空気が会場を包む。この時点でライヴ時間は3時間を越えており、騒ぎっぱなしの観客たちの身体はふらふら、脳も溶けそうななか、アンコール2曲目「the Edge of Goodbye」で客席に輪ができ、モッシュが起こる。この曲で、ようやくこの日のエネルギーがすべて放出されたかのようだった。最後は1stアルバムのタイトル・トラック「BedHead」で、2回目のワンマンは幕を閉じた。

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