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女性が書いた女の子が主人公の小説を大解剖

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 女性のみなさん、思春期の頃を、10代のころを、覚えていますか?
 10代の時期は、だれしも迷い、苦しむもの。自意識過剰で、些細なことにも傷つき、悩み、必死でもがいたという人も多いのではないでしょうか。

 そんな「生きづらさ」を抱えた10代の女の子に寄り添う形で、悩みを解決するヒントとなるような本を紹介しているのが、『女子読みのススメ』(貴戸理恵/著、岩波書店/刊)です。
 本書では、女性作家が書いた、女の子を主役にした作品を、「教室」「恋愛」「家族」「大人になること」といったテーマに沿って、女性評論家である著者が紹介しています。まさに、女性の、女性による、女性のための44冊と言えそうです。

 本書のなかでは、例えば、「恋愛」の項で、『暴力恋愛』(雨宮処凛/著、講談社/刊)という作品が次のように引用されています。

 達也君が可哀想で仕方がない。
 一刻も早くここから解放してあげたい。殴られてるのは私なのに、達也君のほうがよっぽど傷ついている。苦しんでいる。私はそれを充分にわかっている。そう、殴られながらも、私はいつもどこかで冷静だ。どこかで自分が不利にならないように計算している。(中略)どこかで諦めている。どこかで試している。どこかで、ほくそ笑んでる私がいる。
(『暴力恋愛』99〜100ページより)

 DV(ドメスティック・バイオレンス)によって作られた、「私」と「達也君」の関係。殴られる「私」だけではなく、殴る「達也君」もまた、傷ついて苦しんでいるのだと「私」は考えています。この引用部分に対し、著者は次のように意見を述べています。

 パズルのピースが、凹凸があるからこそくっつくように、歪んだ関係はその歪みゆえに、互いを「二つで一つ」のカプセルに閉じ込めます。
 誰も入りこめない、二人だけの世界。それは恋愛している者同士の、ある種の理想でしょう。けれども、うまくいっているときはパラダイスになるその世界は、ひとたびおかしくなると歯止めがきかず、暴力や依存を温存する密室になるのです。(中略)密室から抜け出すには、「二人で一つ」の状態から離れ、「ひとりの私」として立っていく必要があります。
(本書86〜87ページより)

 ここで着目すべきは、「DVはいけないことである、DVの被害者はすぐに加害者から離れなければいけない」といった反応を、著者はすぐには取らず、男と女の関係のなかで、ときに暴力という歪んだ愛情が生じてしまうことなど、おりこみ済みであるかのように冷静に対処している点です。
 著者は、「私」と「達也君」が二人だけの世界に閉じこもり、依存関係にあるからこそ、暴力が生まれるのだと指摘しています。その上で、「二人で一つ」の状態を抜け出さない限りは、暴力の根本的な解決にはならないのだと述べるのです。

 このように、本書で徹底されているのは、女性特有の「生きづらさ」から目をそむけず、悩みに寄り添うという姿勢です。そんな著者の語り口は、十代の女性に限らず、すべての悩める女性を癒してくれるはずです。
 本書を読めば、日常生活で枯渇しがちなエネルギーをチャージできること間違いなし。悩める女性すべてに贈りたい、生き方のバイブルといえそうな本です。
(新刊JP編集部)



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