海外ブランドが「調理家電」ヒット連発 日本メーカーの開発者「なぜだ!」と悔しがる

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海外ブランドが「調理家電」ヒット連発 日本メーカーの開発者「なぜだ!」と悔しがる新しい「調理家電」が、いまブームになっている。オランダの大手家電メーカー、フィリップスが昨年発売した油を使わず揚げ物が作れる「ノンフライヤー」は、30万台を売り上げる大ヒットとなった。

海外メーカーが次々とヒットを飛ばす中、日本のシャープは「お茶専用家電」の開発で対抗するという。2014年6月10日の「ガイアの夜明け」(テレビ東京)は、激化する「調理家電」開発の裏側に1年間にわたり独占密着していた。

オランダのメーカーが「うどん製麺機」に挑戦
海外メーカーの黒船

「日本は非常に発達した大きな市場。革新的なチャレンジをして、もっと日本向けの商品を出していきたい」

そう語るのは、フィリップスのフランス・ファン・ホーテンCEOだ。フィリップスはオランダで120年以上の歴史がある大手家電メーカー。ノンフライヤーの成功で、日本市場にさらなる存在感を示そうと、1年前から新商品の開発が始まっていた。

フィリップス・エレクトロニクスジャパンで開発の責任者に抜擢されたのが、外資系の食品メーカーに勤務していた経験をもつ佐野泰介さん(32歳)。日本人の麺好きに着目し、家庭で簡単にどんな生めんでも作れる家電を目指した。

「うどんが作れればどんな麺でもできる」ということで、すでにある中国向けの中華麺製造機でうどんを作ってみたところ、麺に大事なコシがない。

佐野さんはオランダ人の開発リーダーにうどんを食べさせ、チームで横浜の製麺所へ出向き、大型の業務用製麺機を視察。うどんに必須のコシを出すには、段階的に生地を伸ばしていくことが必要だと分かった。

主婦に試食リサーチをした際、清掃のしづらさを指摘されたが、掃除キットをつけることでクリア。6月3日に「フィリップス・ヌードルメーカー」として新製品発表会を行っていた。うどん・そば・パスタ・ラーメンの4種類が作れるうえ、製粉メーカーの日清フーズと共同開発した専用レシピがつく。

発売は6月20日で想定価格3万2200円。年間販売目標は5万台を掲げた。試食に集まった主婦たちは、「すごくおいしい!」と驚いた様子で、発売前からヒットを予感させた。

シャープは「お茶プレッソ」で対抗
シャープの健康調理家電「ヘルシオ」シリーズの開発を担当してきた田村友樹さん(49歳)は、この数年、海外ブランドにヒット商品を凌駕されたことについて、こう語る。

「我々が一番、日本の食生活・ライフスタイルを分かっているはずなのに、なぜ彼ら(海外メーカー)にやられるんだと。情けない、悔しい話です」

田村さんは、新しい調理家電として「お茶専用家電」の開発に取り組んでいた。急須で煎れるお茶は、茶ガラに栄養素の7割が残り、そのまま捨ててしまっているのが現状だという。そこで、茶葉の栄養をそのまま摂れる家電を開発、商品名は「お茶プレッソ」だ。

想定価格は2万5000円で3月に発売し、月4000台の販売を目指していたが、健康志向のシニア層に受けて1カ月で予定の倍以上を売り上げているという。開発中の田村さんは苦心惨憺たる表情をしていたが、デモの場でお客に売れると心からほっとした様子で、後に心境を語った。

「海外メーカーが入って来てくれたおかげで、調理家電を含め活況を呈したというのも事実。日本メーカーとして、今度は逆に海外に打って出るような商品にしていきたいと思います」

その約3カ月後、フィリップスからヌードルメーカーが発売されている。消費者としては新しい調理法の提案が楽しみではあるが、常に目新しく便利な新製品を出さなければならない開発競争の厳しさを感じた。

番組に登場したフィリップスの開発者は、「日本メーカーなんて眼中にない」という雰囲気だったが、日本はこの競争に打ち勝てるのだろうか。(ライター:okei)

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