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ロシア化が急速に進むウクライナに意外な「日本ブーム」

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「新東西冷戦」の危機とも言われるウクライナ騒乱。ロシア領とされたクリミアでは、プーチン大統領の肖像を職場に掲げることが義務化されるなど、ただならぬ「ロシア化」が進められている。

2014年6月2日の「未来世紀ジパング」は、混乱するウクライナの実態と、経済援助を行う日本の立ち位置を伝えていた。意外なことにウクライナは「日本ブーム」の最中で、街中に急増する寿司屋の数が、ウクライナ料理屋を超えてしまったそうだ。

美人モデルたちは日本市場を目指し、首都にあるキエフ大学の日本語学科は倍率が高く、希望しても入学できない人が多いという。同学科に通うエレナさんは、今回の騒乱が起こる前には卒業後に日本での就職を望んでいたというから、海の向こうで起こっていることは分からないものだ。

ロシア人が大挙して押しかけ観光を楽しむヤルタ
今回の騒乱のきっかけは2013年11月、時の政権に対する不満が噴出した数万人規模のデモだった。番組ナビゲーターの太田泰彦氏(日本経済新聞社・論説委員兼編集委員)は、現在に至る経緯を解説した。

ソ連崩壊により1991年に独立したウクライナは、最近ではEUに加盟する方向で動いていたが、ヤヌコビッチ前大統領が急に方針を変えてロシア寄りになったことで、親EU派からクーデターが起こり、前政権は崩壊してしまった。

ところが今度は「親ロシア派」との壁ができてしまい、国内は分裂。ロシアへの帰属を求めたクリミアを、プーチン大統領がロシアに組み入れてしまったというわけだ。

クリミアのロシア併合に、欧米側が反発して経済制裁を科すと、日本もこれに同調。対立構造が生まれたため、新東西冷戦かと危ぶむ声もある。反ロシア感情が渦巻くウクライナの首都キエフでは、屈強な軍服姿の集団が「プーチンの横暴をとめろ!」と怒鳴りながら行進したり、若者がロシア製品の不買運動パフォーマンスをしたりしている。

半年前までウクライナ領だったクリミアにはロシア人たちがノーチェックで入国し、ヤルタには外国人の代わりにロシア人が大挙して押し寄せ、観光を楽しんでいた。

街道沿いでは至る所にロシアに対する愛国心を駆り立てる看板を掲げ、役所は新しいロシアのパスポートを求める市民で溢れ返っている。生活向上や年金倍増政策が施される一方、目立つ場所にプーチン大統領の写真を置かなくてはならないという義務が課せられていた。

日本は「環境・省エネ」で貢献
ロシアが黒海に面するクリミアを押さえたのは、旧ソ連時代から置かれている海軍基地、クリミア・セバストポリがあるからだ。プーチン大統領は併合直後に基地を訪問し、クリミアが既にロシア領である事を内外にアピールした。

さらにウクライナ東部のドネツク州は親ロシア派武装集団が掌握し、ウクライナからの分離独立を目指している。占拠されたテレビ局はウクライナからの放送を止め、24時間ロシア政権のニュースを流しているという。国境付近の地域は第二のクリミアになる可能性があり、常に緊迫した戦闘状態にあるのだ。

対立を深めてはいるものの、ウクライナのエネルギーはロシアから天然ガスをパイプラインで輸入しており、ロシアに大きく依存している。この4月から料金が8割増しになり、ウクライナの財政状況ではとても支払えないという。

この状況に、日本は「環境・省エネ」で貢献する。ウクライナは日本との環境プロジェクトでプリウスのエコパトカー1200台を導入。さらにソ連時代からの稼働で老朽化が進む下水処理場は、大規模改修費用の1100億円の支援を日本が行う。

日本の最先端技術による汚泥専用の焼却場を建設し、電力消費を3割削減させる予定だ。ウクライナは石炭が豊富にあり、日本の石炭クリーン化技術でエネルギー生産ができればロシアからの影響力を弱めることができるという。

「新東西冷戦は起こらない」理由
番組の最後に太田泰彦氏は「新東西冷戦は起こらない」と未来予測した。ウクライナを舞台ににらみ合いが続くが、どこも決め手にかける。EU諸国もロシアとエネルギーや経済的に深い繋がりがあり、日本も北方領土問題がありそれほど強くは出られない。

ロシアにしても、今回の騒乱でロシア株が2割下がり、経済は不安定だ。アメリカ合衆国出身のパトリック・ハーラン氏は、「もう遠い所で血と富を流したくないというのがアメリカ国民の本音。戦争疲れしていることは間違いない」と話す。

太田氏は「東と西という単純な世界ではない。(日本には)経済という強い武器があり、複雑に絡みあっている世界をどうほどいていくか」が日本の進むべき道だと話した。

日本ブームはうれしいものの、「日本の経済は強い」という実感に乏しい一般市民の感覚では、番組を見て「他国を援助している余裕があるのだろうか」と心配になったのが正直なところだ。長い目で見た国益のためなのだろうが、最終的に国民の生活を救うことにつなげてほしいものだ。(ライター:okei)

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