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土井香苗「人権侵害の敵は無関心」

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●[対談]乙武洋匡×土井香苗「人権を考える」(4)

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乙武: 日本では、人権問題を自分とは縁遠いものと考える人も少なくないでしょう。でも、もしかすると日常のなかで、知らないうちに誰かの人権を侵害していることだってあるかもしれないし、もっと身近な問題として認識をあらためる必要があるのかもしれない。土井さんは、僕らが日頃からどのようなことに配慮し、意識を向けるべきだと考えますか?

土井: 多くの人は、他人の人権を侵害することなく生活しているでしょうから、あまり深く考えすぎる必要はないと思いますよ。ただ、ニュースなどでこうした問題に触れた時には、軽く受け流してしまうのではなく、自分なりにそれについて考えてみてほしいですね。

乙武: まずはそういった問題があるということを知り、自分ならどうするかを考える。そして願わくば、それが行動に結びつけば理想的ですよね。

土井: そうですね。当事者ではない誰かが立ち上がってくれるということは、困っているマイノリティの人々に大きな勇気を与えるものです。たとえば昨今問題になっているヘイトスピーチにしても、これに対するカウンターデモが起こったことが、心の支えになったという人が大勢います。人権を侵害されている人たちにとって、最大の敵は無関心ですから。

乙武: 僕が教育現場にいて感じたのは、いじめ問題も根は同じところにあるのではないかということ。周囲が見て見ぬふりをしてしまうから、ときに自ら命を絶ってしまうような不幸な事件が起こるわけです。

土井: そういう事件って、傍らにいる人がちょっとしたヒロイズムを発揮してくれれば防げることもあると思うんですよね。気恥ずかしくてついスルーしてしまう人も少なくないでしょうけど…。

乙武: また、見えているけど気付けていない、というケースもありますよね。目の前で起きていることを、問題として認識できる人が少なければ、それは顕在化しません。たとえば、学校でゲイをネタにした会話で笑いが起こったりする。でも、じつはクラスのなかにもLGBT当事者がいるかもしれない。こういうケースは案外多いのではないかと感じます。

土井: そうですね。いじめにしてもLGBTのようなマイノリティ問題にしても、カミングアウトしにくいものです。周囲が他人の気持ちを汲み取るよう心がけることに加えて、そういう問題が話題にのぼるだけでも、当事者が打ち明けるきっかけになるのではないかと思います。

乙武: 僕自身、日本にはぜひ人権先進国になってほしいという思いがあるんです。そのためには、いまよりもさらにマイノリティに対する配慮が必要になってくる。「大多数は」「フツーは」というモノサシで世の中を見るのではなく、つねに「こういう人々もいる」という視点を持っていきたいなと思います。

(構成:友清 哲)

【今回の対談相手】
土井香苗さん
1975年、神奈川県生まれ。国際NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」日本代表。東京大学法学部在学中の1996年に司法試験に合格。2000年から弁護士として活動を始め、日本にいる難民の法的支援や難民認定法の改正のロビーイングなどに携わる。

(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびweb R25から一部抜粋したものです
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