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「狂言自殺」でJTB社員が懲戒解雇 職場環境に問題はなかったのか

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JTB中部(名古屋市)は5日、30歳の男性社員を懲戒解雇した。男性社員は4月24日、東濃高で翌日に予定されていた遠足バスの手配を忘れたことに気づいた。そこで、同校生徒を装って、

「遠足に行くのが死ぬほどつらい。消えたい。中止してほしい」

と自殺をほのめかす手紙を作成し、同校に届けたという。同校では全校生徒の安否確認を行った後、予定どおり決行しようとしたが、バスが到着しないことからJTBへ問い合わせ。「狂言自殺」が発覚し、岐阜県警が男性社員を偽計業務妨害容疑で逮捕した。

社員を「ゆとり」と批判して終わりでいいのか
1964年生まれのノンフィクションライター降旗学氏は、ダイヤモンドオンラインのコラムでこの事件を話のマクラに取り上げ、

「この社員は三〇歳だそうだ。ゆとりですね。」

と断じている。確かに、ミスに気づいた時点で上司に相談しておけば、バスを緊急手配するなり学校に謝罪するなりの対応ができたはずだ。最悪、土下座でもしておけば、降格にはなっても懲戒解雇にはならなかっただろう。

ではなぜ、男性はこのような形でミスを隠蔽しようとしたのか。彼ひとりが「ゆとり」だったからなのだろうか。その背景には、必要以上に担当者に責任を負わせるしくみや、ミスを報告しにくい職場環境はなかったのか。

そもそも前日まで担当者以外がミスに気付かなかった時点で、業務をフォローしたり、情報共有したりする体制がなかったのだろう。30歳なら独り立ちして当然だが、男性社員に過重な業務負担が掛かっていたとすれば、いくら働き盛りの若手社員とはいえミスやパニックを起こしてしまいかねない。

普段からミスが発覚した場合に、上司からパワハラ的に怒鳴られたり、過酷なペナルティを課されたりしていたら、正直に報告することへの強い恐怖心も起こるだろう。今回はあまりにも稚拙な手段で話題となったが、男性が正常な判断力を失うほどのストレスにさらされていた可能性も十分に考えられる。

個人に過度な負荷をかけても成長せず潰れるだけ
ミスの隠蔽などで懲戒処分を受ける事件は、最近もいくつか報じられている。今月7日、岐阜県大野町教育委員会は、小学校の男性職員を減給10分の1(3カ月)の懲戒処分にした。

施設修繕工事を業者に口頭で発注しただけで書類を作らなかったほか、体育館のカーテン取り換えなど3件を年度内に発注しなかったという。これについて職員は、

「周囲に相談できないまま、抱え込んでしまった」

と話している。4月6日には横浜市旭区の福祉保健センターに勤務していた男性職員が、遅延など不適切な事務処理を500件以上行い懲戒免職となった。男性職員は昨年9月9日から無断欠勤しており、家族が警察に捜索願を届け出したところ、自宅の書類から事件が発覚。失踪前には周囲に「仕事がきつい」と漏らしていたという。

こういった不祥事の裏に、プレッシャーだけ掛けて大した仕事もしないブラック上司や、誰かが困っていても手を差し伸べようとしない同僚たちがいたとしたら、本人だけに責任を押し付けて懲戒処分とするのは酷な気がしてならない。

JTB中部広報室は今回の事件を受け、「元社員が逮捕されたことは大変遺憾。今後は全面的に捜査に協力していく」とコメントしていた。

会社が捜査に協力することももちろんだが、重要なのは同様の事件が再発しない社内の職場環境づくりではないか。もちろん男性社員の能力や人間性も問われる部分ではあるが、上司や同僚の言動を含め、不祥事に至った経緯をきちんと追求してもらいたい。(懲戒処分ウォッチャー・ムライセツオ)

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