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乙武洋匡「人権ってそもそも何?」

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●[対談]乙武洋匡×土井香苗「人権を考える」(1)

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乙武: 土井さんが日本の代表を務めている国際NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」というのは、どういう団体なのでしょうか?

土井: ヒューマン・ライツ・ウォッチは世界90カ国で人権問題の解決にあたっているNGOです。ニューヨークに本部を持ち、40年以上の歴史がある団体で、東京の事務所は2009年に私が設立しました。1997年には、対人地雷禁止条約の締結に寄与した功績が評価され、ノーベル平和賞もいただいています。

乙武: それは素晴らしい。世界的に知られている人権団体なんですね。

土井: 世界では2大人権NGOの1つと評価されているので、大手ではありますね。日本ではまだまだ新しく、十分な知名度があるとはいえませんが。

乙武: 弁護士である土井さんが、このヒューマン・ライツ・ウォッチの日本支部を立ち上げたのは、日本国内での人権問題に取り組むためですか?

土井: 簡単にいえば、日本政府にもっと人権外交に注力するよう働きかけるために、日本の事務所を立ち上げたんです。アジアは世界と比較してかなり人権状況の悪い地域とされていますが、そのなかで日本は例外的に環境のいい国です。日本は裕福ですし、政府に力がありますから、その経済力を生かしてアジア諸国の人権問題の解決に取り組もう、というのが主な活動になります。

乙武: そもそも、「人権」というのは誰もが知る言葉でありながら、その意味を具体的にイメージできる人って、意外と少ないのではないかと思います。ヒューマン・ライツ・ウォッチが取り扱っている人権問題とは、一体どのようなものですか?

土井: たしかに、人権というのはどこか空気にも似たもので、失うと誰もが困ってしまうのに、あればそれが当たり前としか思わないんですよね。日本のように人権に恵まれた国では、なおさらです。人権の内容は国際条約で明確に定義されていますが、小難しくなるので私はいつも、人権活動を3つのカテゴリに分けて説明しているんです。1つは「戦争で市民が殺されないルールを作ること」。2つめは「独裁から人々を守ること」。そして3つめは「マイノリティに平等な社会を作ること」です。

乙武: なるほど、わかりやすいですね。土井さんは若い頃から法曹界を目指して勉強されてきたわけですが、こうした人権問題に取り組むようになったきっかけは何だったのでしょう?

土井: 大学時代にアフリカでボランティアをしたことがあるのですが、当時は漠然と、恵まれない環境で苦しんでいる人々を手助けしたいという気持ちでいました。しかし、そのボランティア活動を通して人権問題を専門にする弁護士がいることを知り、国際協力というのは物や技術などを分け与えることだけがすべてではないのだな、という発見を得たことが大きいですね。このまま弁護士を目指すなら、日本に逃げてきた難民を弁護するような仕事もできるんじゃないか、と。

乙武: たしかに、僕らは募金したり物資を提供したりするだけで困っている人を支援した気になりがちですが、実際には人として当然の権利を求めて国を逃れてきた人も大勢いるわけですよね。土井さん及びヒューマン・ライツ・ウォッチの活動は、空気のように「あって当たり前」の人権を守っていくもの。これまで我々があまり意識する機会がなかっただけで、いかに重要な取り組みなのか理解できました。

(構成:友清 哲)

【今回の対談相手】
土井香苗さん
1975年、神奈川県生まれ。国際NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」日本代表。東京大学法学部在学中の1996年に司法試験に合格。2000年から弁護士として活動を始め、日本にいる難民の法的支援や難民認定法の改正のロビーイングなどに携わる。

(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびweb R25から一部抜粋したものです
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