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自分を乱す煩悩から身を守るには?

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 嫌なことがあったり、失敗したり、困った時ほど、次の手を打とうするものだ。でも、あの手この手と打つうちに、さらに混乱してしまうこともある。
 そんな時、次の手を打たず、ただ、内面を見るだけに踏み留まる。「しない」ことによって、心を保つ方法があるのだ。

 2年半にわたり朝日新聞で連載してきた「心を保つお稽古」から108本を選んで書籍化したのが、本書『しない生活』(小池龍之介/著、幻冬舎/刊)だ。
 お寺の住職である小池龍之介氏が、そのときの自分にとって一番気になる身辺の事象や“我が心模様”を切り取って記事にしたものである。

■親しい間柄ほど陥りがちなワナとは?
 「あなたが優しくしてくれないから私も」という思考はいわゆる「目には目を、歯には歯を」というものだ。初対面の頃は相手に気に入られようとして頑張るので、相手を尊重するものだが、相手を頑張って尊重するのは疲れる。だから、互いの関係が親しくなり、なれ合いになるにつれ、誰もが頑張れなくなってゆくことはあるだろう。
 前は優しい言葉をかけてくれていたのに、かけてくれなくなる。すると、「前は尊重してくれていたのに、今は尊重度が下がった」と認識するようになる。私たちは他人からどう扱われるかで、自分の価値が上がったり下がったりすると錯覚しているので、逆恨みが生じる。
 相手が自分への尊重を切り下げてきたのに、自分だけ大事にしてあげていては、負けている気分になる。そこで「あなたへの尊重も切り下げて、あなたの価値も下げてオアイコ」とばかりに仕返しをしたくなるというわけだ。すると、相手も同じことを考え、切り下げ合戦に。親しい間柄ほど陥りがちなので気をつけなければならない。

■嫌われることを恐れて安請け合いをしていると…?
 「『いいよ、任せてよ』と言葉だけ調子よく、いざ頼まれたら『今週だけは忙しくて…』などと言い訳して逃げる人。こんな人は、友ではなく友だちモドキと心得えよ」というのは『六方礼経』に残る釈迦の言葉だ。
 相手の承認を取りつけたくて、その場しのぎにイエスと言った後で、冷静に考えると「やっぱりやりたくない…」というのはよくあることだが、安請け合いも嘘の言い訳も、どちらも他者からの承認を保ちたいがゆえに、本心を伝えられないままにやってしまうものだろう。
 その結果「友だちモドキ」の不誠実な人となってしまい、まさに相手からの承認を失うかもしれない。
 嫌われるのを怖がりすぎて、つい良い人ぶってしまうことはよくあること。しかし、勇気を出してもっと正直にならなければいけない。せめて、その場しのぎにイエスと言わず「少し考えさせて」と保留する必要があるのだ。

 ちょっとしたことでイライラしたり、嫌になったりすることは、誰にでもあることだ。怒ったり、不安になったり、妬んだり、自分から進んで乱れていこうとしてしまう。こういった乱れた心理状態は仏道では、煩悩と言われている。煩悩から我が身を守るために、何か行動するのではなく、ただ内省して心を静め、何も「しない」というのも1つの方法なのだろう。
(新刊JP編集部)



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