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崩落事故続出! 「天井の耐震」研究の最前線とは?

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 頭上の天井が落ちてくる……。そんなことが起こるとは、私たちは日常生活の中で露ほども思っていない。しかし「絶対に起こらない」ことではない。
 実はこれまでにも天井が崩れ落ちてくるという事故は何度も起きていたのだ、それもこの日本で。

 2001年3月24日の芸予地震(M6.7)では、広島県や愛媛県の音楽ホールや体育館、武道館などの複数の建物で天井が落下する被害が発生した。2003年9月26日の十勝沖地震(M8.0)の際は、震度5を観測した帯広空港のターミナルビルのロビーと管制室の天井が落下した。
 2005年8月16日の8・16宮城地震(M7.2)では、やはり震度5強を観測した総合スポーツ施設の温水プール天井材のほとんどが次々と真下のプールに崩落し、35名の負傷者が出た。そして2011年3月11日の東日本大震災(M9.0)では、東北3県に限らず首都圏でも天井崩落事故が発生し2名の死者が出てしまった。

 震災以後、建物の耐震補強工事が各地で行われたが、天井耐震化の必要性については残念ながらあまり認知されていない。しかし、大地震のたびに天井の崩落事故が起きていること、そしてどのような天井に崩落の危険性があるかということは知っておくべきだろう。
 『その天井が危ない! 人のいのちと企業の生命線を守る耐震天井のすべて』(株式会社桐井製作所/著、ダイヤモンド社/刊)は、天井耐震化の必要性とともに、現在の耐震天井の技術がどこまで進んでいるのかを明かした一冊である。

 本書によれば、建物の構造部分については耐震化が進んできた一方で、非構造部材と呼ばれる天井等の耐震対策は遅れている。その理由は、これまで体系的な研究が行われる場がほとんどなかったからだという。
 しかし、天井崩落事故は2000年以前にも実際に起きていたのだが、それが広く世に知られるきっかけとなったのは前述の2005年8・16宮城地震である。開館したばかりの真新しい施設の天井が、地震によってあっけなく崩落してしまうシーンが何度となくテレビでも放映され、衝撃を受けた人も多いはずだ。
 そのシーンを見てやはり大きなショックを受けたのが、桐井製作所の桐井隆社長だった。これまで40年以上にわたり安心で安全な空間を提供するために鋼製下地材の製造販売を続けてきたつもりだったが、それが幻想だったことを目の前で突き付けられたのだ。
 以後、桐井製作所にとって、耐震天井の開発が社会的使命となった。
 2006年には正式に開発部が発足し、中心メンバー5名をはじめとした15〜16名のチームで開発に当たるようにした。
 この研究開発の過程において特徴的なのが、実験データをすべて公表しているということだ。これは関係者からの批評に堪えうるデータを公表してこそ、設計者も納得して耐震天井を採用できると考えているからであって、桐井製作所は建築業界全体で「天井の耐震構造」についての共通認識を深めようと試みている。
 また、このような本を出版したのも、「天井の耐震化」についてもっと広く知ってほしいという意思の表れだろう。

 地震大国・日本。大地震は必ずまたどこかで起こる。そのときのために、人々が安全でいられるために、天井の耐震化は必要性を増してくるはず。
 本書には物件の施主やオーナーが今すぐ取り組むべき天井耐震化のポイントも紹介されており、ここ最近再びスポットが当てられているREITなど不動産投資を考えている人にとっても大変重要な情報が多く紹介されている。建築・建設業界だけでなく広く不動産業界に関わる人たちをはじめ、こうした建物や施設を利用したり出入りする多くの人たちにとっても、是非読んでおきたい一冊だ。
(新刊JP編集部)



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