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不倫をした夫からの離婚請求は認められるでしょうか?

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Q.
 夫Xと妻Y、その子供であるZがいました。夫Xは、結婚しているにもかかわらずAと不倫し、家を出てAのもとに行ってしまいました。妻YはZを引き取り、夫Xから譲り受けた土地付きの家を売却し、実兄の家に身を寄せ、自らも仕事をはじめ、細々とではありますが生活をつづけていました。それから36年が経ちました。妻Yは女手一つで子供Zを育て上げた後、まだ一人で生活を続けていたところに、夫Xから離婚をしたいとの申し出がありました。

 さて、この状況で夫Xからの離婚請求は認められるでしょうか?
 ちなみに、夫Xから妻Yに対しては、長年の別居期間中、財産の給付として1度、約500万円が支払われています。また、妻Yは一人で生計を立てられています。

(1)不倫をした夫が、長年妻をほったらかしにしていて離婚請求なんて認められるはずがない!
(2)子供も独立しているし、事実上結婚生活が破たんしているから離婚は認められる

A.
正解(2)離婚は認められる

 民法770条1項1号では「配偶者に不貞な行為(配偶者以外との姦通)があったとき」は離婚請求が可能だとされていますが、これは不倫を「された」側の配偶者のみを対象とする条文です。ところが、民法770条1項5号では、「婚姻を継続し難い重大な事由があるときは離婚の訴えを提起することができる」とされています。そこで、この条文を用いれば、不倫をした張本人から「倫理的には悪いが、不倫が婚姻を継続できない重大な事由だ」として離婚請求できそうにも見えます。
 心情的には、婚姻関係が破たんする原因を作った夫Xからの離婚請求ですから、「認められない!」と言いたいところです。実際、昔の裁判所での判断では、「法はかくの如き不徳義勝手気儘を許すものではない」として不倫をした配偶者(有責配偶者)からの離婚請求を認めませんでした(最高昭和27年2月19日第三小法廷判決)。
 ところが、時代がうつり、設例のような事件が起こった時に、裁判所の判断が変わりました。有責配偶者からの離婚請求であっても、

(1)相当長期間の別居
(2)未成熟子の不存在
(3)妻が離婚により精神的・社会的・経済的にきわめて過酷な状況に置かれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情がないこと
が認められれば有責配偶者からの離婚請求であっても肯定されるようになりました(参照:最高裁昭和62年9月2日大法廷判決)。
 現実に破たんしているのだから、その実情を優先して判断しようとする流れが、この判決から生まれたとされています。法は、時として道徳や倫理と正面から向き合うことを要請される。そんな事件となったのです。

元記事
不倫をした夫からの離婚請求は認められるでしょうか?

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