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「申し訳ございません」「とんでもございません」 実は誤用

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 春といえば出会いの季節、第一印象を決定づける上で言葉が果たす役割は小さくない。同じ内容のことを伝えるにしても、言葉の使い方一つで相手を不快にさせてしまうこともあれば、気分よくさせることもできる。言葉を言い換えるだけで自分の評価を左右させてしまうことにもつながる。『この「言い回し」で10倍差をつける』(小学館刊)を監修した、テレビなどでもお馴染みの杏林大学外国語学部の金田一秀穂教授に話を聞いた。

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 人をほめるということは実に難しいものです。いわゆるヨイショされるのが大嫌いな人もいます。まあ、そんな人に「あなたのそういうところが素晴らしい!」とヨイショする人もいたりするわけですが……。

 それはさておき、どんな人でも自分の子供はほめてほしい、と思うのでしょうか。赤ちゃんの頃などは「見て見て!」と誰にでも見せたがり、コメントを期待する親御さんもいらっしゃいますよね。するっとヨイショができない人には、これは辛い局面です。いくらそう見えたとしても、「サルみたいですね」「ガッツ石松さんにそっくりですね」などとは、とても言えたものではありません。「ここはパパ似ね、あら、笑顔はママそっくり!」と親似のコメントをしたり、「かわいい服を選んだわねえ」と服をほめたりは、女性ならうまく言えるでしょうが、男性には少々ハードルが高いような気もします。

 無難なコメントとしては、生まれたてなら「やさしそうな顔立ちですね」、ちょっと月齢を重ねたお子さんなら、「はっきりとした目鼻立ちですね」がいいでしょう。ちなみに、生後間もない赤ちゃんには「かわいらしいお嬢さんですね」というコメントがおすすめ。これは女の子ならそのままほめ言葉になりますし、もし男子でも「女の子のようにかわいいお顔立ちだったものですから」とフォローを入れることができます。

 その他、外見をほめるデリケートな表現としては、年配の方には「変わりませんね~」と、アンチエイジングなほめ言葉を。ここで「若く見えますね」「お年の割にすごく元気ですね」と不用意にほめると、たとえそう見えたとしても、言われた方は「見えるといっても、実年齢は~だしなあ」「この年なら本来は元気じゃないのか」と、否が応でも老いを意識させられてしまい、いい気はしないものです。

 また、「その服、素敵ですね」「かわいいバッグをお持ちで」など、ファッションをほめると、「キレイなのは服や持ち物だけか」と気分を害されかねません。「いつも似合う服ばかり着ている」「バッグを選ぶセンスがいつもかわいいと思います」など、その服や小物を選んだ本人のセンス、審美眼をほめるようにしましょう。

 ミスを犯してしまったときこそ、きちんとお詫びして挽回したい。ピンチをチャンスに変える謝罪フレーズも、しっかり考えて使いたいものです。

 だけど、誰もが使っている「誠に申し訳ございません」では今一つアピールできないと思いませんか。そもそも、「申し訳」とは「言い訳」「弁解」を意味しており、「申し訳がない」というのは「弁解の余地もない」ということです。深く考えずにマニュアル的に使っているようでは少々ハートが伝わらないかもしれませんね。

「心よりお詫び申し上げます」「お恥ずかしい限りです。今後はこのようなことのないよう……」など、ちょっと上級の謝罪フレーズをマスターしておくとよいかもしれません。

 もちろん、これらの謝罪をメール一本で済ませるのは考え物。本当に謝意を伝えたかったら、「お会いしてお詫びさせてください」とアポイントを取って切り出すのがベターでしょう。

 そして、細かいことを言わせてもらうならば、これって実は正しくはないんです。日常会話では、言葉はとかく真意が伝わればいい。これが私のモットーではありますが、本当は間違っているということは知っておいたほうがいいと思います。

 まず、「申し訳ございません」と言う場合、「申し訳ない」の「ない」が「ございません」という丁寧表現に変わったということになりますよね。これを発する時は、どこかに「丁寧な言葉づかいにしなければ」という意識があると思うのですが、「申し訳ない」や「とんでもない」の「ない」は、助動詞の「ない」で、「ある」「ない」の「ない」ではありません。「申し訳ある」「とんでもある」とは言えないのです。

 つまり、「申し訳ございません」「とんでもございません」というのは「行かない」が「行かございません」になってしまうようなものなのです。正しくは「申し訳ないことでございます」「とんでもないことでございます」と言わなければいけません。日常的に使われ、すでに定着した言葉なので、ここまで細かく考えることはないと思いますが、知っていることに越したことはございません。



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