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ラブレターを公開するとどうなる?

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 ツイッターやフェイスブックでの若者の「暴走」事件が後を絶ちませんが、現在話題となっているのは、ツイッターによるラブレターの公開。女子高生が自動車学校に通っていた時に受け取ったラブレターの写真を送信者の個人名やメールアドレスなどを伏せずにツイッターに投稿。投稿した女子高生の身元が他の投稿内容などから特定される騒ぎとなっています。
 自分が書いたラブレターが全世界に公開されるとしたら、かなり恥ずかしいことですが、法律的には何が主張できるのでしょうか。今回はこの話題を取り上げます。

 まず思いつくのは、プライバシー権の侵害でしょう。プライバシー権について、裁判所は、

(1)私生活上の事実、またはそれらしく受け取られるおそれのある事柄であること
(2)一般人の感受性を基準として当事者の立場に立った場合、公開を欲しないであろうと認められるべき事柄であること
(3)一般の人にまだ知られていない事柄であること
(4)このような公開によって当該私人が現実に不快や不安の念を覚えたこと
という基準を立てて判断していますが(「宴のあと」事件判決)、ラブレターの公開は上記の全ての基準を満たすと考えられます。
 したがって、公開された側は、損害賠償の請求の他(民法709条)、公開されている画像の削除を求めることができると考えられます。

 別の観点の主張として、「ラブレターは著作物であり、勝手に公開することは公表権(著作権法18条)、公衆送信権(同23条)を侵害している」という著作権に基づく主張が考えられます。
 この主張の前提となる、「ラブレター(手紙)は著作物か?」という部分についてですが、著作権法上、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」とされています(著作権法2条1項1号)。
 ラブレターはまさに、”相手に対する好意”という感情を表現したものですし、その表現方法も通常は事務的なものではなく、創作的であるといえるでしょう。手紙の著作物性については、「三島由紀夫手紙事件」とよばれる事件で争われたことがあり、東京地裁(平成11年10月18日判決)、東京高裁(平成12年5月23日判決)ともにこれを肯定しています。
 これに対し、「ラブレターは受取人に届いた時点で受取人のものとなり、読んで捨てることができるくらいなのだから、公開するのも受取人の自由ではないか」という反論もありそうですが、上記の高裁判決の中で「受取人は書簡の所有者にすぎず、著作者は発信人である」との指摘がなされており、この反論は難しいといえます。
 したがって、ラブレターの発信者は、著作権に基づき、侵害行為(今回でいえばインターネット上での公開)の差止めを求めるとともに(著作権法112条)、損害賠償の請求、さらに名誉回復のための措置を求めることができます(著作権法115条)。

 過去のラブレターの公開は、バラエティー番組などでも行われていますが、それはあくまで(事後的であれ)差出人の承諾があってのこと。今回のように、画像がインターネット上に拡散してしまうと、侵害を止めようにも、もはや事実上不可能となってしまいます。「送信」ボタンをクリックする前に、よくよく考えることをおすすめします。

元記事
ラブレターを公開するとどうなる?

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