親の過干渉が子どもに与える悪影響

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大学受験に親が付き添う最大の原因は「親の心配ごと」

親の過干渉が子どもに与える悪影響

先日、東北大学で行われた2次試験で、受験会場へ向かうバスに付き添いの親が多く乗り込んだため、すべての受験生が乗り切れず、試験開始に間に合わないというトラブルが発生しました。当日は、受験生の親向けの説明会も行われるため、付き添いが多くなったと予想されており、現代の親の姿が浮き彫りになった現象ともいえます。

大学受験に親が付き添う最大の原因は、「テスト開始時間に遅刻したら、どうしよう」という「親の心配ごと」に他なりません。親の心配は尽きませんので、そういった内容を子どもに聞かせると、子どもたちも心細く感じて「付いてきてくれるなら」と言うでしょう。

受験に対する不安を解決する行動に導くことが自立を促す

しかし、それは「自立」とは程遠いと言わざるをえません。受験に対する不安があれば、それを親子で出し合い、解決するための方法を考えて実行する。このプロセスがあれば、親は子どもの受験に対して安心して「行ってらっしゃい、がんばってね」と送り出すことができると思います。

受験に付き添う親の心配ごとの大多数が「遅刻」などであるとすれば、それを解決する手段はないのでしょうか。高校生になって進路を決定する時期にもなれば、受験会場に行く手段や道のりを調べることもでき、おこづかいやバイトで貯めたお金を使って事前に現地調査に行くこともできます。こういったことに導いてあげることが、子どもに「自立」を促すことになるのではないでしょうか。緊急事態も考え、対処する力を持った子どもが、社会で活躍できる人材となるのです。

成長段階を無視して干渉すると、「依存心」の強い人間に

干渉には「教え、しつける」ための正当なものもあります。「教え、しつける」干渉は、社会的ルール、生活上のきまりや約束ごとを身に付けさせていくために大切な作業です。子どもが言葉を覚え始める時期から小学校低学年まで、成長に応じて「教え、しつける」干渉が必要です。

親が子どもの成長段階を無視して干渉してしまうと「過干渉」となります。「言われないと動けない」「ひとりでは選べない」「欲しいものがわからない」「自分の好き・嫌いがわからない」など「自立心」より「依存心」の強い人間に育ってしまいます。また、親が自分自身の「価値観」にもとづいて、子に教え、語ることは親への信頼と畏怖を育てることになりますが、この「価値観」が押しつけになると過干渉になります。たとえば、親の代償心理や見栄で「有名大学進学=幸福」という価値観を刷り込まれた子どもが受験に失敗したら悲劇です。幸福のレールから外れ、挫折感を持って生きていかねばならないからです。

過干渉の親の多くは、自分も過干渉で育てられ、子どもへの接し方がわからないという連鎖があるようです。過干渉は、子どもかわいさゆえに無意識に行ってしまうところに問題があるのです。それを回避する方法は、子どもを信じること。過干渉を意識するだけでも、程よいブレーキをかけることはできると思います。

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