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ニュージーランド航空の機内ビデオ

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手荷物を棚に入れ、携帯電話の電源を切って離陸を待つ。ディスプレイに流れる機内安全ビデオを見るようにアナウンスがある。年に数回でも飛行機に乗る人なら、見飽きたような内容だ。でも、突然ホビットやドワーフが登場すればどうなるだろうか? 筆者の場合は「何これ?」と驚き、思わず注視した。

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「そんなふうに、安全ビデオにもエンタメ性を持たせて“ちゃんと見てもらうこと”が目的のひとつ。もうひとつは、当社の経営哲学をユニークな形で表現することです」

こう語るのは、このビデオの制作を指揮したニュージーランド航空(以降、NZ航空)のチーフ・マーケティング&カスタマーオフィサー、マイク・トッド氏だ。同社が、こうした風変わりなビデオシリーズを作り始めたのは2009年。第1弾の「Nothing to Hide(隠すものは何もない)」には、機長や乗務員などの全出演者が、裸に制服のボディペインティングを施して登場した。

「多くの航空会社が預け入れ荷物や燃油、食事などの料金を別表示にするなかで、NZ航空はすべて込みのクリアな料金表示にこだわりました。その“透明性”をわかりやすく裸で表現したんです」

この動画はYouTubeで公開された途端、爆発的に拡散。CNNやBBCなどの海外メディアにも取り上げられ、現在までに720万回以上再生されている(公式英語版のみのカウント)。

「なかには安全ビデオとして不適切だという苦情もありましたが、人によって意見が分かれるのは当然。クレームが来るほど多くの人に見られたということなので、“やった! 成功だ!”と大喜びしました」

以降も、ハリウッドのエクササイズ番組で人気のリチャード・シモンズや、ニュージーランドで撮影された映画『ホビット』シリーズのピーター・ジャクソン監督などをゲストとして起用し、現在までに計8本のビデオが制作されている。

「ユーモアとプロ意識を持って働き、“普通のことをしない”のが、当社の哲学。これは安全ビデオだけでなく、エコノミークラスでの旅行を革新して数々の賞を受賞した独自開発シートや、機内サービスについてもいえることなんです」

そう。NZ航空は優れたサービスが認められ、米国『エア・トランスポート・ワールド』誌の最優秀賞を世界で初めて2度受賞した航空会社でもある。実は、トッド氏も単なる面白ビデオ担当ではなく、ブランディングや政府との調整までを統括するお偉いさんだったのだ。

「“面白ビデオ担当”でも全然OKですよ。私は世界一ユニークな航空会社で、最高の仲間と働いていることを誇りに思っていますから」

宇野浩志=取材・文
(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびweb R25から一部抜粋したものです
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