サラリーマン最大のリスクは「飼い殺し」の環境に置かれることだ

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サラリーマン最大のリスクは「飼い殺し」の環境に置かれることだ勤め人にとって最も恐れるべきことは「解雇」であると言われる。会社をクビになったことでプライドを大きく傷つけられ、自殺する人もいるし、会社に雇われ続けるために、反社会的な行為に手を染める人すらいる。

人材コンサルタントの深大寺翔氏は、このような誤った認識が、労働者としての価値を著しく下げていると断言。真の最大リスクは「飼い殺し」であり、時には自らぬるま湯の組織を飛び出さないと、労働者にとっての未来が失われると指摘している。

「年功序列」の相互扶助は「少子化」で破綻する
――私たちが日々仕事をする意味には、2つの側面があります。1つは、日々の生きる糧を得るために、世の中で「社会人として機能する」ことです。

「働かざるもの食うべからず」が、世の基本。障がいなどがあって働けない人は別のセーフティネットで救うべきですが、すべての人を救うことはできません。

もう1つの意味は、「将来に向けて経験を積み重ねること」です。人間も動物ですから、年齢を重ねることで体力が確実に衰えていく。知恵やスキルを高めていかない限り、労働者としての価値が年々低下していくのは当然です。

「将来に向けて経験を積み重ねること」ができない職場とは、どういう会社でしょうか。ひとことで言うと「労働者を飼い殺しする会社」ということになります。

「飼い殺し」とは、労働者が働かなくても雇用や給与を保証する会社のことです。典型的には年功序列型の企業ということになります。

もともと日本企業の「年功序列」とは、年齢によって能力が衰える労働者のジレンマをカバーする仕組みです。バリバリ働く若い社員が、中高年を支える「世代間の相互扶助」であり、企業がムラ的な社会福祉を担っているのです。

しかし少子化により、少数の若者が大勢の中高年を支える構造は破綻しています。グローバルな競争環境が日本を襲い、企業が担っていた社会福祉の機能が足かせにもなっています。会社が自社の社員を一生保護するという約束は、もう守れなくなっているのです。

「経験を積みながらチャレンジできる職場」を目指せ
日本の労働運動は、立場の弱い非正規社員を放置して、手厚い既得権を有する正社員の味方ばかりしています。彼らは「飼い殺し」で労働者として終わった人たちからカネをもらい、用心棒として既得権を守る圧力をかけています。

彼らは「使い捨て」という言葉を使って会社を批判していますが、会社からすれば、働かずに高給を要求する「やらずぼったくり」は、笑止千万な存在なのです。

大企業が関連子会社への天下りで、社員の老後の面倒を見ることができていたのも、ひと昔前の話。「年功序列・終身雇用の大企業に入って親を安心させたい」と言っている就活生は、労働者としての自殺行為に向かっていると気づくべきです。

社会人経験のない学生が目指すべき会社というのは、間違いなく「経験を積みながら徐々に難しい仕事にチャレンジしていける職場」なのです。そういう会社で働いていれば、自然と知恵やスキルが上がっていきます。

経験を蓄積できれば、組織の中での仕事の単価が上がり、万一その会社に捨てられてしまっても、別の会社で職を得る可能性が高まります。「飼い殺し」の職場を飛び出して、自分がチャレンジできる会社を探すためなら、私は若いうちに「自分探しの旅」に出る意味はあるのではないかと思います。

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