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熊谷俊人「公務員も“コスト意識”を持った方がいい」

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乙武: 僕は過去に、新宿区の非常勤職員を2年、杉並区で小学校教員を3年、トータル5年間の公務員経験があります。現場でいつも感じていたのは、旧態依然としたシステムを改善しようという意識が、非常に希薄であるということ。その点、熊谷市長が以前Twitterで発信されていた「印鑑はもうやめよう」という意見、僕は大賛成なんですよ。教員時代も、印鑑で出勤状況を管理されることに、ずっと疑問を感じていました。

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熊谷: 公務員というのは、良くも悪くも生真面目な人材が多いためか、要領の悪い人も目立つんです。その反面、環境への適応力が高いため、不便な仕組みにも無理なく合わせられてしまう。ここに問題があると思うんです。

乙武: なるほど、なまじ適応できてしまうため、システム自体を改善しようという方向に考えが向かないのですね。

熊谷: そう。だから私は職員によく、「自分自身のコスト意識を持て」というんです。共済や保険などすべてひっくるめると、君たちには年間でおよそ1000万円のコストがかかっている。だから、1000万円以上のパフォーマンスを発揮しないのであれば、それは税金泥棒といわれても仕方がないんだ、と。

乙武: 本当にその通りですよね。僕自身も教員時代、2時間もかかる職員会議に疑問を感じていました。「メーリングリストなどを活用すれば、もっと短時間で済ませられるのに」と。これに異論を唱える人がいないのは、市長がおっしゃるように、自身のコスト意識が欠如しているからなのでしょうね。

熊谷: 民間企業のように“頑張らないと潰れるかもしれない”という危機意識が欠けていることにも原因があるでしょう。市長になってまず驚いたのは、私のところまで上がってくる決裁書類に、印鑑が30個くらい押してあることでした(苦笑)。

乙武: つまり、その書類が市長へと上がってくるまでに、それだけ多くの人の目を通ったことの証しというわけですね。わかりやすい(笑)。

熊谷: この30個の印鑑というのは結局、何かトラブルが起きた時に、責任を分散させたいがゆえの数なのだな、と感じました。だからすぐに、「決裁規定にない人たちは責任が取れないのだから印鑑は不要だ」といったのですが、「しかしこれは、その人達がしっかり見たことの証明ですので…」となる。まずはこの体質をどうにかしなければ、と強く思いましたね。

乙武: LINEのグループ機能で回覧すれば、何人が「既読」か一目瞭然なんですけどね(笑)。

熊谷: 必要なのはまさにそういう着想だと思いますよ。要は、業務効率というものが死活問題にならない土壌があるのです。ただ、誤解しないでいただきたいのは、おかしな人材がそろっているというわけではないんです。社会に出て最初に入った職場の習慣になじんでしまっただけで。

乙武: そうですね。僕も熊谷市長も、民間で働いた経験がなかったら、そういった視点を持つことはできなかったかもしれませんし。だからこそ、根本的な意識改革が必要で、公務員が市民に対する責任を適切に果たすために、熊谷市長の提言はとても意味があるのだと思います。

(構成:友清 哲)

【今回の対談相手】
熊谷俊人さん
1978年、奈良県生まれ。千葉市長。早稲田大学・政治経済学部卒業後、大手通信会社勤務を経て、2007年の千葉市議選に稲毛区選挙区から出馬し、トップ当選。09年、千葉市長選に立候補し、当選。現在、2期目。

(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびweb R25から一部抜粋したものです
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