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「得体の知れない映画ファンが全国から集まるのが嬉しくて」代表理事に聞く『ゆうばり国際映画祭』の魅力

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2月27日(木)~3月3日(月)の期間、北海道・夕張で開催される「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2014」。15日に行われたラインナップ記者会見では、万城目学のべストセラーを映画化した『偉大なる、しゅららぼん』(濱田岳、岡田将生主演)や大林宣彦監督が北海道を舞台に、美しい四季と人間の物語を描く『野のなななのか』をはじめ、魅力的な招待作品が明らかになりました。

毎年個性的な作品を上映し、他の映画祭には無い独自のイベントも話題の「ゆうばり国際映画祭」。市の財政破綻など様々な困難を乗り越え、多くの人に支えられてきたこの映画祭をまとめるのが特定非営利活動法人ゆうばりファンタ 代表理事の澤田直矢さんです。

元証券マンで、北海道にUターン後、ボランティアスタッフとして「ゆうばり国際映画祭」に関わり、今では映画祭を引っ張るリーダーである澤田さん。今年の映画祭の見所から、映画祭の歴史まで色々なお話を聞いてきました。

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――今年の「ゆうばり国際映画祭」も、ディズニー映画からカルト的作品まで個性的な作品が集まりましたね。

澤田:基本的に映画祭って皆がまだ観た事ない映画を上映するというのが一番ですよね。「こういう映画を集めよう」と意識して集められるわけでは無いし、集めてみたら傾向が似ていたりするのが面白いんですけどね。今年は特に“当たり年”ですね。

映画祭として一番理想なのが、普段映画を映画館で観ない方が舞台挨拶のスターなどそれぞれの目的で訪れて楽しんで、また映画館に足を運んでくれることなので、間口の広い作品が招待出来たなぁと。幅広い年齢の方に観ていただけるセレクションですよね。

――本当に様々な年代の方が集まる映画祭ですものね。昨年も「ゆうばり国際映画祭」を取材させていただいたのですが、お年寄りがタランティーノの『ジャンゴ』を観ている、そんな姿に感動しました。

澤田:高齢者の方って映画の黄金期を知ってらっしゃるので、ああいった娯楽映画を観るリテラシーは我々より高かったりするんですよね。『ジャンゴ』の長い銃撃戦を観てスッキリした顔して会場を後にしているのを見ると、いいなぁと思います(笑)。

――招待作品はもちろん、コンペ作品もホラーテイストの作品も多いですし、かなり個性的ですよね。

澤田:一見頭の悪い「ボンクラ映画バンザイ!」みたいな作品が多いのですが、非常に娯楽性が高くて観るとハマっちゃうという。僕は世代的に怪獣映画直撃なので、映画の原体験は怪獣映画、特撮映画なんです。だから「開田裕治」展を実現出来た事は本当に嬉しいですよね。去年は『パシフィック・リム』もあって、今後『進撃の巨人』や『寄生獣』の公開も控えているので、若い世代の方にも楽しんでいただけるんじゃないかなと思っています。

――『進撃の巨人』と言えば、実写映画の監督を務める樋口真嗣さんらが登壇する「VFXジャパンのプログラム」も「ゆうばり国際映画祭」では楽しみですね。専門性が高く、まるで学校の授業や講義の様にも思いました。

澤田:そうですね、VFXのプログラムは第一線で活躍しているクリエイターのお話を聞けるので、とても勉強になるイベントです。昔から「映画祭=学校説」というのがあって。色々な年代の方が集まって、同じ作品を観たり一緒にお酒を飲んだり、ここでしか出来ない経験や勉強を出来る所が本当に貴重なんですよね。地方でやっている映画祭って良い意味で閉鎖的な、閉ざされた空間でガッツリ映画を観れるっていう魅力がありますからね。

――そんな澤田さんが「ゆうばり国際映画祭」にスタッフとして関わる様になったきっかけはどんなことだったのでしょうか?

澤田:学生時代から「ゆうばり国際映画祭」の存在は知っていたのですが、テスト期間と被っていて行けなかったり、社会人になっても忙しくて行けなくて。会社をやめて北海道に戻ってきた時に、やっぱり映画祭行きたいなぁと思って。映画監督やスターに会えるのももちろん楽しいのですが、全国から得体の知れない映画ファンが集まってくるのが何とも嬉しくて。

ボランティアスタッフとして関わる中で、お客さんと色々な話をしたり、これから映画を撮りたいと思っていた人と友達になったりして。今では世界でも活躍されている、井口昇監督や西村喜廣監督と一緒に自主映画を作るまでになったんですね。映画を作ったらやっぱり上映したくなる。でも上映出来る場が無いから作っちゃえ、ということで当時「フォーラムシアター」という部門で上映しました。今の「フォアキャスト部門」の前進となる部門で、今の「ゆうばり国際映画祭」の“ごった煮感”はそこから生まれたのかな、と思っています。

――ちなみにその時作った自主映画はどんな内容の作品だったのですか?

澤田:一つは『レイジング夕張』っていう作品で、父親を殺されたラーメン屋台の女が犯人に復讐するという訳の分からない作品でしたね(笑)。その時の撮影兼、美術兼、照明兼、みたいな何でもやるヤツが西村喜廣でした。変なヤツだけど何でも出来ることに感動しましたね。その時はここまで一生の付き合いになるとは思っていなかったですけどね。

――一生のお友達が映画祭で出来たと!

澤田:そんな感じで自分のフィールドみたいなものを作りつつ、当時のボランティアスタッフ達それぞれに危機感や問題意識があることに気付いて。「なんで映画祭こうならないんだ!」とか「もっとこうしたい」とか思ったことは、自分達で変えていこう、実際に改善していこうという動きがあって。時代背景として国が地方の財政をカットしはじめている時だったので、いずれは映画祭が無くなってしまうのかもしれない。だったら国に頼らない運営の仕方をしなくては、と考えている時に思ったよりもはやく夕張市の財政破綻がありまして。備えてはいた事だったけれど、青天の霹靂というか。

――予測はしていたけどこんなにはやく訪れるとは……という。

澤田:そこで民間で続ける方法は無いだろうかと、色々な人に相談して、応援していただいて、無事に復活出来たというわけです。今年で復活して7年という年月が経っていますが、あっという間だけど自分の年齢を考えると時間は確実に流れているんだなぁと思いますね(笑)。

――映画祭の開始をとても楽しみにしております。今日はどうもありがとうございました!

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2014
http://yubarifanta.com

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記者:

映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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