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「サーモス魔法びん」の誕生秘話

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取材時に目の前に置かれたシルバーの容器。底部の刻印には、「1910・NY」の文字が見てとれる。

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「これは、サーモスが1910年にニューヨークで作った携帯用ガラス製魔法びんなんです」と教えてくれたのは、サーモスのマーケティング担当、簑島久男さん。

「サーモスは元々ドイツの会社で、1904年に世界初のガラス製魔法びんを考案しました。その後、ポット型など様々な形が誕生し、世界に普及していったんです」

転機は1978年。世界初の高真空ステンレス魔法びんの登場だ。

「開発したのは、工業用ガスメーカーの日本酸素(現・大陽日酸)。液体窒素などを運ぶ容器に使用していた真空断熱技術や金属加工技術を魔法びんに応用しました」

ガラス製魔法びんの最大の弱点である、“割れる”を克服した画期的な商品は大ヒットした。1989年に日本酸素はサーモスを買収。ガラスとステンレス、両方の世界初がひとつになり、名実ともに世界一の魔法びんメーカーが誕生した。

「当社の矜持は、“他社のマネをせず、常に新しいモノを生み出すこと”。そして“モノを売らずにコトを売ること”。私たちは、魔法びんを売るのではなく、断熱技術を使ったライフスタイルを提案しているんです」

たとえば、保冷専用をうたった『スポーツボトル』。当初は、保冷に特化することがユーザーの間口を狭めると考えられていたが、結果は小中学生を中心に大ヒット。今ではスポーツシーンに欠かせないアイテムとなっている。シアトル系カフェの普及やマイボトルブーム、エコブームなどで爆発的にヒットした『ケータイマグ』も、発売当時は地味な製品だったという。

「発売は1999年。まだ日本にカフェ文化は根付いていませんでしたが、アメリカではマイボトルが流行していた。日本でも同じブームが起こると確信していました」

また、真空断熱の『フードコンテナー』では、汁物を保温するという使い方から一歩進み、余熱で調理するといったユーザー発のムーブメントも生まれた。昨年末にサントリーと共同で開発・発売したマイボトルドリンク『drop』も、専用ポーションでドリンクを作るという新しいスタイルを提案している。

「新しい提案をするということは、時代の少し先を行くこと。今、お客様に支持されて、ヒットしているといえるのならば、それは、私たちの提案に時代が追いついてきたということだと思っています(笑)」

基本は100年前の技術にもかかわらず、時代を先取りする発想で快進撃を続けるサーモス。ヒット商品を生み出すのはハードの進化だけではない、と教えてくれる企業なのだ。

榎並紀行(やじろべえ)=取材・文
(R25編集部)

「サーモス魔法びん」の誕生秘話はコチラ

※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびweb R25から一部抜粋したものです
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