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2014年のパブリックドメイン・デーを迎えられた国と迎えられなかった国

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毎年1月1日は1年の最初の日(元日)であると同時に、著作権制度にとって最も重要な意味を持つ“パブリックドメイン・デー”(Public Domain Day)でもあります。日本や中国、ベトナム、マレーシア、タイ、カナダ、ニュージーランドなどの国々では毎年、50年前に亡くなった自国の先人が遺した作品が保護期間満了となりこの日に開放されます。

日本が世界に誇る電子図書館『青空文庫』([リンク])では昨年まで毎年1月1日の午前0時を迎えると同時に富田倫生さんがサイトを更新してパブリックドメインになったばかりの作品を公開していましたが、その富田さんが昨年8月に亡くなり新体制で最初のパブリックドメイン・デーを迎えました。「2014年1月1日からパブリック・ドメインとなり、青空文庫に加わりました。」として、いずれも1963年没の石原忍、井上貞治郎、小津安二郎、久保田万太郎、河野広道、佐佐木信綱、野村胡堂、橋本多佳子、長谷川伸、山之口貘の10名がトップページに列挙されています。

海外に目を向けてみると、米国の本家や欧州連合(EU)で受け入れ不能な作品を積極的に取り込んで今や世界で最も勢いのあるアーカイブの一つとなった『プロジェクト・グーテンベルク・カナダ』([リンク])は新年を迎えると同時の更新こそありませんでしたが、公開準備作品の校正用サイト『Distributed Proofreaders Canada』([リンク])では1963年没の有名作家が遺した作品がEUよりも20年早い公開へ向けて受け入れ準備が進められています。そう遠くない内にC・S・ルイス(1898-1963)の『ナルニア国物語』全7巻も公開されるでしょう。

EUでは1990年代前半に著作権保護期間を個人の死後または法人の公表後50年から70年に延長した際、それ以前にパブリックドメインとなった作品に対しても権利を復活させる遡及適用を行いましたが、今年になってようやく遡及適用のギャップがほぼ解消されました。作曲家のセルゲイ・ラフマニノフ(ロシア→米国、1873-1943)や『ピーターラビット』で有名な絵本作家のビアトリクス・ポター(イギリス、1866-1943)が遺した作品はカナダやニュージーランドから20年遅れ、戦時加算を科されている日本からは9年7か月遅れで今年からようやくパブリックドメインです。

米国では1923年から1978年までに公表され、かつ1997年末までにパブリックドメインとならなかった作品は「死後95年または公表後120年のどちらか短い方」を迎えるまでパブリックドメインにならないので、最低でもあと4年は外国の作品を含めて一切パブリックドメイン・デーを迎えることはありません。米国の圧力で著作権延長を強いられたオーストラリアではあと10年、韓国ではあと18年もの間、パブリックドメイン・デーを迎えるのは相互主義(外国の著作物は相手国の方が著作権保護期間が短い場合、短い方を適用する)に基づく外国作品だけに限定されます。昨年はマリア・パランテ米国議会図書館著作権局長が「原則はベルヌ条約最低基準の50年間とし、権利者が特に希望したものに限って最長70年までの延長を認める」と言う、実現すれば歴史の一大転換点になるであろう提言を行いましたが、米国内外では今年も環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に絡んで激しい応酬が予想されます。

来年のお正月も日本から“Happy Public Domain Day!”の挨拶を世界中に発信できるかどうかは、まさに今が正念場と言っても過言ではありません。

画像:パブリックドメイン・デー特設サイト(英語)
http://www.publicdomainday.org/

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