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就業規則に「社内恋愛絶対禁止」 これってアリなの?【弁護士に言っちゃうぞ(4)】

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大手ゲームメーカーでデザイナーをしている28歳の女性Aさん。勤め先にはエンジニアと営業に男性社員が多く、クリエイティブと事務に女性社員が多いという。

40半ばの社長は「社内恋愛禁止」を公言しており、会社の掲示板や連絡用モニターには「会社は仕事をするところ。社内恋愛は絶対禁止」と表示している。

どうやら過去には、優秀な女性社員がエンジニアの彼氏の転職とともに退職してしまったり、男性営業マンが社内の複数の女性社員に手を出したことがきっかけで、他の男性社員を巻き込んで大トラブルになったり、といった「痛手」があったようだ。

バレたらどっちか辞めなければならないのか
実はAさんは、30歳の男性エンジニアとつきあっている。会社ではその素振りは見せないが、仕事中に密かにスマホで連絡を取り合って、帰りの時間を合わせたりすることはある。もちろん、待ち合わせは会社から遠く離れた場所だ。

彼氏とは社内のプロジェクトで知り合い、彼女の方からアプローチした。もちろん「社内恋愛禁止」は知っていたので、最初は「バレないように」と気をつけていたが、そのうち「なんでコソコソしないといけないの?」とバカバカしくなってしまった。

彼とは数年以内に結婚したいが、仕事もこのまま続けたい。しかし、社長はそれを許さないのではないか。じきにバレる気もするが、就業規則にも「当社従業員同士の恋愛は、これを禁止する」と明記されていて、入社時にサインをしてしまっている。

このままでは「どちらかに辞めてもらうから」と言われないか心配だ。こんな場合は、どうすればいいのか。キャリコネ編集部が職場の法律問題に詳しいアディーレ法律事務所の刈谷龍太弁護士に聞いてみた。

すべての恋愛が「風紀紊乱」「素行不良」とはいえない
――「会社は社員を雇っているのだから、就業規則で何でも決められる」かというと、それは違います。あくまでも社内秩序維持という合理的な理由がある必要があります。どちらかというと、決められないことの方が多いくらいのイメージの方が近いです。

就業規則とは、会社のルールのことです。始業・終業の時刻や解雇事由など必ず定めなければならない「絶対的記載事項」と、表彰・制裁などの制度を置く場合には記載しなければならない「相対的記載事項」が、労働基準法で定められています。

このほか、企業秩序の維持を図るために社員が守るべき服務規律などは、労基法には規定されていませんが「任意記載事項」として定めることができます。「酒気を帯びて就業しないこと」といったようなことですね。

さて、「社内恋愛」はどうなのでしょうか。確かに解雇事由や懲戒事由として「社内の風紀を乱したとき」「素行が不良のとき」を掲げる就業規則はよく目にするところではあります。しかし、すべての恋愛が「風紀紊乱(ふうきびんらん)」「素行不良」とはいえないはずです。

恋愛は基本的に個人の自由ですから、誰にも、ましてや会社に束縛などされるいわれはありません。社内恋愛というだけで、解雇事由や懲戒事由に該当するとはいえないでしょう。

「絶対禁止」の掲示はパワハラかも
ただし社内恋愛が破局を迎え、そのために仕事で余計な感情が入ってしまい、企業の円滑な事業運営を阻害した場合には、何らかの処分が下されることはあるかもしれません。

しかし、それは常軌を逸したような場合に限定されると思われます。それを理由に解雇されたら断固として闘いましょう。その時はお手伝いさせていただきましょう。

なお、会社の掲示板などに「社内恋愛は絶対禁止」と書かれているとのことですが、厳密に言うと「弱い立場の労働者に対して精神的苦痛を与えることにより、職場環境を悪化させる」パワハラといえるかもしれません。

とはいえ、その点を争って環境を変えさせるのか、それとも普通に社内恋愛を続けて不利益な取り扱いがあってから抗議するのか、どちらを選択するのかは人それぞれなのかもしれませんね。

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【取材協力弁護士 プロフィール】

刈谷 龍太(かりや りょうた)
弁護士(東京弁護士会所属)。中央大学法科大学院修了。 司法修習第64期。 弁護士法人アディーレ法律事務所
パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を専門に扱う部署に所属。 問題点を的確についたシャープな切り口が持ち味。趣味はサッカー。 公式ブログ「こちら弁護士刈谷龍太の労働相談所」

 

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