ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

被災地東北に送られた未使用衣類をシリアに送る取り組み発足

DATE:
  • ガジェット通信を≫

 NPO法人「日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)」の代表もつとめる諏訪中央病院名誉院長でベストセラー『がんばらない』ほか著書を多数持つ鎌田實氏は、イラクだけでなくシリア、東日本大震災の被災地への救援活動も続けている。シリアと東北、遠く離れた二つの土地が未使用の支援物資を贈る『絆ぐるぐるプロジェクト』でつながった経緯を鎌田氏が報告する。

 * * *
 シリアの内紛は思っていた以上に泥沼化し、ますます混迷の度合いを深めている。出口がまったく見えない。とりあえず、サリンなどの化学兵器に関して、シリア政府は化学兵器禁止条約に加盟し、約1290トンの兵器を来年3月までに廃棄すると決めた。

 その後、生産設備を破壊したと発表したが、本当かどうかは分からない。というのもシリア内は治安が悪く、外国人が入って本当に廃棄されたかどうかを確認することができないからだ。

 そこで出た案が廃棄の優先度の高い兵器からシリア国外に持ち出して処理するということ。しかし処理場所と目されていたアルバニアは受け入れを拒否。いまもって受け入れ先は決まっておらず、明るい展望がなかなか見えてこない。

 今年10月段階で、すでにシリア国内では、約12万人の死者が出ている。そして2100万人の国民のうち、1割の210万人が難民となって国外に脱し、いまも毎日数千人単位で難民となっている。当初はヨルダンに難民が流れ、そこでは今も50万人以上もの人々がキャンプ生活を送っている。

 僕が代表を務めるNPO法人「日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)」のメンバーは、昨夏から数回、ヨルダンやイラクの難民キャンプを訪れ、子どもたちや妊婦さんを支援してきた。

 JIM-NETは、東日本大震災が起きた直後から東北の支援も行なっている。今年2月、石巻の漁師の木村さんから「全国から送られてきた衣類が手つかずで残っている。これをシリアの難民に届けてはどうか」との提案があった。そこで早速、『絆ぐるぐるプロジェクト』を開始した。

 ヨルダンに入ったメンバーは、シリア難民の妊婦さんの出産を無事終わらせ、退院した後は、食料・衣類の供与を続けている。

 今回は、石巻だけではなく福島大学からも支援が入ることになった。JIM-NETが間に入り調整をすると、教授と学生たちが独自に衣類を集め、わざわざ手持ちで難民キャンプに届けてくれた。ヨルダンは、東日本大震災のとき、義捐金の支援や医師を派遣して救援を行なってくれた。メンバーたちは日本にやってきた医師とも再会し、お互いに助け合う関係を再確認したとか。

 ぐるぐると、絆が回り始めた。

 シリアに隣接するイラクにもたくさんの難民が入ってきた。僕たちは5年前からイラクの北部アルビールに事務所を構えているが、この町の郊外にも難民キャンプができた。いまは5万人が収容されている。難民に衣類や食料を配給し、女性たちが自立できるように羊毛を使った手工芸のワークショップも立ち上げた。現金収入が入るようにとの配慮である。

 イラクの白血病の子、福島の被災地の子、シリアの難民の子──助ける必要がある子どもたちは世界中に星の数ほどいるのだ。

※週刊ポスト2013年12月20・27日号



(NEWSポストセブン)記事関連リンク
買い物難民の現状や買物支援、各地の取り組み等を紹介した本
【ジョーク】米国防長官がシリア攻撃計画に関し説明した内容
人命救助2万人、遺体収容1万体 自衛隊の災害派遣の実績

NEWSポストセブンの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP