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電気代「再値上げ」の危機

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「以前に比べるとずいぶん上がったなあ」――毎月、電気料金の請求書が届くたび、ため息をついてしまう人も多いのでは?

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一部報道によると、東京電力は、柏崎刈羽原発(新潟県)を再稼働できない場合、来年1月から、再び8.5%程度の電気料金の値上げが必要になるとの試算を金融機関に示したという。その後、9月27日に、東京電力より原子力規制庁の定めた新たな基準による安全審査を受けるための申請がなされたため、ひとまずこうした心配は回避されたが、同様の声は他の電力会社からも上がっており、原発の再稼働の有無によっては、再値上げが現実味を帯びる。

なぜ原発が再稼働できないと電気料金が上がってしまうのか? 主な理由は「燃料費の増加」にある。停止した原発の代わりに火力発電で電力をまかなうため、燃料の石油やLNGなどの輸入を増やしているからだ。

総合資源エネルギー調査会の試算によれば、原発停止による燃料費の増加分は2012年が3.1兆円。2013年度は3.8兆円に上る見通しだという。これは消費税1.5%分に相当する負担増であり、日本全体でこれだけのお金を資源国に支払っていることになる。

金額が大きすぎてピンとこない方も多いだろうが、単純計算すると国民1人当たり約3万円/年の負担増に相当する。家族4人なら、一家で年間12万円の負担増というわけだ。

もっとも、電力会社も設備投資など経費の合理化に努めているので、そのまま電気料金にはね返る訳ではないが、懸念すべきは、燃料価格が長期的に上昇トレンドにあることだ。国際情勢による乱高下はあるものの、原油価格はこの10年で約3倍に高騰。LNGは約2.5倍、石炭(一般炭)も約3倍に値上がりした。特に原油価格は今後も上昇が見込まれており、燃料費負担の増大は避けられそうもない。となれば、そのコストは誰かが負担せざるを得ず、最終的には電気代の値上がりにつながるのだ。

実際、原発停止に伴う化石燃料消費の増加により、既に各家庭の電気代は平均2割程度上昇している。昨年4月以降、多くの電力会社が料金改定を行ったことはご存知であろう。また、原油・LNG・石炭価格の上昇分は、「燃料費調整制度」によって毎月、調整されており、ずっと高い水準のままとなっている。現在、調整額は、首都圏の標準的な家庭(月間使用量290kWh)で毎月360円程度の上乗せとなっている。

加えてもうひとつ見逃せないものがある。「再生可能エネルギー発電促進賦課金」(以下、再エネ賦課金)の存在だ。

昨年7月、再生可能エネルギー導入を推進するために「固定価格買取制度」が設けられた。これは太陽光など「再生可能エネルギー」により発電された電力を、電力会社が一定価格で買い取ること義務付けたものだ。この「買取価格」は、導入促進を図る目的もあり、通常、電気料金より高い価格が設定されている。

そのため、買い取り費用の総額に対して、得られる電気料金収入では全てを賄いきれず、差額の費用を誰かが負担しなければならないことになる。この制度では、その差額費用を、僕ら一人一人が負担することになっているのだ。すでに、毎月の電気代には、「再エネ賦課金」として負担金が上乗せされている。

現在、「再エネ賦課金」の上乗せ分は同じく首都圏の標準家庭で毎月120円程度。「大した額じゃない」と思われるかもしれないが、今後、再生可能エネルギーの導入が進めば進むほど、この賦課金は上がっていくことになる。

実際、この制度の“お手本”となったドイツでは、賦課金が毎月1500円に達し、電気代の2割近くを占めることになり大問題となっている。「買取価格」は毎年見直されるとはいえ、再生可能エネルギーによる発電が進むほど、電気代の値上がりは避けられない。

また、この制度は、20年間同じ価格での買取が保証されているため、将来賦課金が上昇し、負担がキツくなっても、すぐには制度を止められないという厄介なリスクが潜んでいる。

「燃料費の増加」と「再エネ賦課金の増加」――「原発が再稼働できないと電気代が上がってしまう」のは、こうした背景があるわけだ。前政権時代、脱原発&再生可能エネルギー推進を志向したことによる必然的な成り行きというべきだろう。

問題は、「脱原発&再生可能エネルギー拡大」という方針を掲げる際、それによって生じる「痛み」を僕らに強いるという現実をどこまで政府が説明していたか? それに、僕ら自身もどこまで理解しようとしたか?という点だ。

現状の電力供給体制を続けると、2030年度には電気代が2010年度比15~19%上昇するというシンクタンクの試算もある。このまま「脱原発&再生可能エネルギー拡大」を推進するのか、別の針路に舵を切るべきなのか、国はそれぞれの「メリット・デメリット」をきちんと示した上で、僕らに選択を問うべきだろう。

ただ、どんな電力供給体制を目指すにせよ、これ以上サラリーマンの懐をいじめるのは止めてもらいたい--それが大多数のホンネではないだろうか?
(篠塚裕也)
(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびweb R25から一部抜粋したものです
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