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“煽り系”ビジネス書著者が語る“炎上との向き合い方”

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 「ブラック企業」に代表される「ブラック」という言葉が、ネットだけでなくリアルにおいても頻繁に使われるようになっている。そして、この「ブラック」という言葉は「搾取」という意味で使われることが多く、批判の対象とされている。
 しかし、その「ブラック」に対して全く違う視点から疑問を投げかける人がいる。午堂登紀雄氏だ。「ブラック化する社会の本質を見抜く武装トレーニング集」を謳う新刊『貧乏人が激怒する ブラック日本の真実』(光文社/刊)は、ブラックから抜け出すためには、氾濫する情報にただ流されたり表面的に反応したりするのではなく、情報の1つひとつに対して想像力を働かせ、そのウラにある本質を読み取り、行動することが求められると指摘する。
 では、氾濫する情報に流される「情報弱者」(情弱)から抜け出すためにはどうすればいいのだろうか? 著者の午堂氏、本書を編集した坂口氏の2人をお迎えして話を聞いた。
 今回はその後編となる。
(以下、敬称略)

■「根拠のない批判や炎上は放置しています」

―インタビューの前半では情報弱者とはどんな人たちのことを指すのか、といったところから、情報弱者にならないための情報への向き合い方についてお聞きしました。その中で「批判を恐れない」ということを挙げていらっしゃいましたが、午堂さんご自身は批判されたり、インターネットで炎上に巻き込まれたりしたことがありますか?

午堂「しょっちゅうありますよ(笑)。きれいごとではなく社会のリアルを指摘しようとすると、どうしても炎上しやすいのでしょう」

―そういうときはどういうふうに対応されるのですか?

午堂「基本的には何もしないですね。実名で私宛に直接、論理的な反論をいただいたときは対応しますが、匿名での感情的な罵倒や、根拠のない批判は全てスルーしています。炎上コメントをする人は基本的に自分が正しく相手が間違えているという前提があるので、対応するとさらに絡まれますし」

―炎上が広がってもそれは放置しているんですか。

午堂「基本は放置です。本書の紹介記事でも炎上していますが、そういう人は字面やそこから受けるイメージだけで反応し、もっと本質的なことを、字数を割いて書いている本書を読むことはないでしょうから。
それに、そういうものってすぐに忘れられるんですよ。何週間、何カ月間と時間が経つと誰も覚えていなくなる。炎上を起こす人は、つねに次の炎上ネタを探しているみたいです」

―批判が怖いからネット上では何も言えないという人もいると思います。そういった人たちアドバイスをください。

午堂「1つは個人(個別企業)攻撃になることは言わないことです。『○○というヤツが悪い』とやると、恨みを買ったりして、誰もハッピーになりませんから。
それを基本にしておけば、批判を受けたからといって、命が奪われるわけではありませんし(脅迫まがいのことをする人はいるようですが、犯罪者には相応の対応をするだけ)、自分の主張に自信があれば、外野の意見で自分のスタンスを変える必要はないと思います。
それに、誰もが同意する意見や主張なんて、わざわざ文字にする必要もないでしょう。やはり刺さるもの、読む人の感情を揺さぶって賛否両論を起こすもののほうが、思考が発動するきっかけになると思います。
そもそも、変化や革新をもたらす人は、たいてい周囲と摩擦を起こし、批判にさらされるものです。だって普通の人の常識にはないことをしようとしているわけですから、普通の人には理解できない。叩かれるのは仕方ないでしょう。
そして、自分は一体何を目指しているのかを考えて、その批判が自分の成長や成功の糧になるのであれば、自分の意見と異なっていても、その声には耳を傾ける。
そうでない批判はただのノイズだと思うことです」

―本書ではブラック企業を叩く人についても触れていらっしゃっていて、午堂さんは批判を展開していらっしゃいます。先日もブラック企業として叩かれるファーストリテイリングなどが、週刊文春の記事や単行本の内容が名誉棄損だと訴えたところ、東京地裁で敗訴したというニュースがありました〈その後、高裁に控訴〉。
午堂さんはこの「ブラック企業」について、どのように定義されていますか?

午堂「一般的には法令違反をしている企業のようですが、それはブラックというより、単純に労働法違反の会社なので、法や当局によって是正されるべきものですよね。
問題なのは『違法ではないけど……』というグレーゾーンの会社です。私には、詐欺的な商品(法外に高額な商品など)を売りつけている会社や、倒産して全従業員が突然解雇になる会社のほうがブラックではないかと思えるのですが」

編集・坂口「ただ、そういった企業は、日本ではブラック企業として叩かれることがあまりないですよね」

午堂「そうですね。毎年1万社もなくなっているのに。あとは労災比率が高い製造業や漁業なども、ブラックと言われにくいです。要するに、ただ労働環境がキツイという企業がブラック批判されているケースが多いようです」

―「労働環境がキツイ」というのはすごく主観的ですよね。

午堂「だから、ある社員が『うちの会社はブラックだ』と思っていても、同僚や先輩はその中で努力して、着々と実力をつけているということもあります。逆に自分はホワイトな会社だと思っていても、『つらい』『ブラックだ』といって辞めていく人もいる。そういった中で、会社が悪いと言っても何も意味がないんですよね。『そんなの理想論だ』という人もいますが、『では、この環境の中で自分はどうすればいいのか』ということを突き詰めて考えようとしていない人がほとんどです。方法なんていくらでもあるのですから。『そういう言い方は論点が違う』と言ってくる人もいますが、自分がよりハッピーになるには、思考回路を変えるか、行動を変えるかしかないでしょう。他者(企業)を変えようとエネルギーを使うより、自分自身が変わったほうが人生有意義だと思います」

―『貧乏人が激怒する ブラック日本の真実』をどのような方に読んで欲しいですか。

午堂「自分は誰かのシステムに組み込まれ搾取されているかもしれない、と感じている人です」

坂口「本書にも書いてありますが、手帳がスケジュールや情報などの書き込みで真っ黒だけれど、通帳は逆に真っ白で、月1回しか入金がないような人ですね。手帳と通帳のバランスが取れていない方は、誰かの搾取システムに取り込まれている可能性を疑ってみたほうがいいかもしれません」

―つまり情報を入れっぱなしでアウトプットできていない人ですね。でも、よく考えると、いくらインターネットやスマートフォンで情報入手が便利になったとはいえ、基本的に見ているサイトはみんな同じなんですよね。

午堂「そうなんですよ。昔に比べて情報を集めやすい時代になったと言われていますが、実はみんな同じものしか見てないんですよね。そこで大切なのが情報の咀嚼の仕方なんです。その捉え方についてはこの本を参考にしていただけると嬉しいです」

―では、このインタビューの読者の皆さまにメッセージをお願いします。

午堂「リアル、ネット関係なく、消費者の目を引く“釣り”情報が溢れています。これは、好奇心を刺激しているということですから、目をそらす必要はありません。でも、この時代において、釣られてお金や時間を浪費するのは、企業や政府、あるいは仕掛人のカモになってしまう可能性があるということです。
同じ釣り情報であっても、それを他人とは違う切り口で咀嚼することで、自分と家族の生活をより豊かにする行動を取っていくことが、特に個人にとっては重要なのではないでしょうか。
そういう視点から、本書が『いかに私たちが世の中の情報に流されているか』『思考停止しているか』に気づくキッカケにしてもらえればと思っています」

(了)



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