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「黒霧島」で焼酎メーカートップに

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「これだッ!」。霧島酒造の専務・江夏拓三は閃いた。車を運転中、トンネルに入った瞬間、カーナビの画面が白から黒に変わったのだ。既存の看板商品「霧島」のラベルは白。その時、江夏は開発中の新商品のラベルを黒に変えようと決めた。

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「頭打ちだった状況を打破するためには、誰も見たことがない商品を造らないとと思っていたんです。当時、食品業界で黒いラベルはタブーでした。周囲には反対の声もありましたね」(江夏さん)

こうして生まれたのが、「黒霧島」のラベルだ。1998年に誕生した「黒霧島」は、当初、県内限定発売。これを翌年から全国展開に切り替えると、世の焼酎ブームにも乗り、売り上げはぐんぐん伸びていった。2002年以降は毎年2桁以上の売り上げの伸びを記録。焼酎メーカーの中で売上高8位だった霧島酒造は、2012年に年間売上高が500億円を超え、三和酒類を抜いて日本一となる。

「黒霧島」がヒットした最大の理由は味にある。社内では、その味を「トロッと、キリッと」というキャッチコピーで表した。スッキリとした切れの良さ、トロッとした甘さを実現したのは、原料へのこだわりだ。

「さつまいもは、南九州のシラス台地で育てられた『黄金千貫(こがねせんがん)』。仕込み水は、1955年(昭和30年)に弊社が工場近くで掘り当てた地下水「霧島裂罅水(きりしまれっかすい)を使っています」(生産本部製造部・櫻井 斉さん)

とくに、味を大きく左右するさつまいもへのこだわりは並々ならぬものがあった。

「先代の社長は、毎日工場にやってきてみずから触ってチェックしていたほどです。社員も相当なプレッシャーを感じたでしょうね(笑)」(同・益田孝一さん)

工場で造られた黒霧島の原酒は、数カ月から1年ほど寝かせて熟成させた後、霧島裂罅水で割ってブレンドし、ようやく出荷となる。現在、社内には先代社長の意志を引き継いだブレンダーが5人。彼らはちょっとした味の違いも敏感に判別できる。この厳しい最終チェックによって、年々受け継がれる「トロッと、キリッと」の味わいが完成するのだ。

こうして、熱い思いを持った人と宮崎の風土が一体となって醸す芋焼酎は、押しも押されもせぬ大ヒット商品となった。しかし、江夏氏は「まだまだ、道の途中です」と話す。

「この成功に安住することなく、今後も宮崎から強いメッセージを送り続けたい」(江夏さん)

「黒キリ、どんどん飲みやん」。宮崎地方の方言で「黒霧島をどんどん飲みなさい」という意味だ。はい、どんどん飲みますよ。今夜も、おいしい一杯がいただけそうだ。
石原・だれやめ・たきび=取材・文
(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびweb R25から一部抜粋したものです
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