ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

生命の神秘を感じる“深海本”

DATE:
  • ガジェット通信を≫

■文化系サイエンティスト、生命の謎に挑む

【画像や図表を見る】

いったい、この文体をなんて呼べばよいのだ。書かれている内容は、深海に広がる生態系から生命の謎に迫るバリバリ理系の内容。だが、文章の弾けっぷりがハンパない。スケーリーフットなる深海の巻貝を発見して「キタァァァァァァー!!!!!」と雄叫びを上げる。自らの研究を『魁!!男塾』の「大威震八連制覇」になぞらえて「世界熱水微生物生態系制覇」と称す。本書『微生物ハンター、深海を行く』は、そんな(広義の)文化系用語をあちこちにちりばめながら、研究の熱さや興奮をびんびんに伝えようと目論んだ1冊だ。

著者の高井 研氏は、JAMSTEC(独立行政法人海洋研究開発機構)在籍。氏の唱える仮説は、「生命は40億年前の地球、地熱で熱せられた水が噴出する深海熱水噴出孔周辺で誕生」したというもので、この仮説を実証するために、「しんかい6500」に乗り込んで、残されている深海の熱水域周辺の環境を調べているわけだ。本書では、この文化系サイエンティストの大学時代から現在に至るまでの研究遍歴をたどりながら、深海に広がる「暗黒の生態系」の謎に迫るという構成になっている。

そして現在は、太陽系内地球外生命探査にむけた宇宙生物学にも着手。この「新たな『愛と青春の旅だち』」は始まったばかりだが、高井氏ならきっと何かやってくれるはず。そう思わせるだけの熱量が本書にはある。

■小説が描く深海 写真が映す深海

一方、『海に降る』は、JAMSTECを舞台としたノンストップ深海冒険小説。物語は、主人公の天谷深雪が、「しんかい6500」の女性初のパイロットになる直前に、閉所恐怖症を発症してしまうという場面から始まる。彼女は、一時的に預けられる広報部で、亡き父がかつて目撃したという未確認深海生物を追い求める新人・高峰浩二と出会う──。

物語そのものの面白さもさることながら、JAMSTEC内部や「しんかい6500」の描写がすばらしく、緻密な取材が見事に生かされている。

『微生物ハンター、深海を行く』と併せて読むことで、深海研究の魅力や興奮がさらに深まるに違いない。ちなみに、登場人物の目山には高井研氏のキャラが少なからず混じっている気が…。

『深海世界』は、深海に息づく魅惑的な生物の写真集だが、その姿かたちは想像をはるかに超えている。カバー写真は、水深2700m付近で撮影されたミルズクロクラゲ。存在そのものがスケルトンだったり、イルミネーションだったりする海洋生物の数々は、もはやアートに近い。最近、深海生物萌えの女子が増えているというのもうなずける。
(斎藤哲也)

<書籍紹介>
●『微生物ハンター、深海を行く』高井 研/イースト・プレス/1680円
●『海に降る』朱野帰子/幻冬舎/1470円
●『深海世界』編集協力:新江ノ島水族館/パイ インターナショナル/1470円
(R25編集部)

生命の神秘を感じる“深海本”はコチラ

※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびweb R25から一部抜粋したものです
※一部のコラムを除き、web R25では図・表・写真付きのコラムを掲載しております

(web R25)記事関連リンク
地球に深海はどのくらいあるの?
美味?珍味?深海生物はどんな味?
「謎の深海生物」人気の兆し
年商3億円!“海の手配師”の仕事
R25をオフラインで読める無料アプリ(外部サイト)

カテゴリー : 未分類 タグ :
R25の記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP