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一流の職人を育てる企業の驚くべき教育

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 企業の人材育成で、注目を浴びている会社がある。注文家具を作る「秋山木工」という社員数34名の小さな会社だ。

 『一流を育てる 秋山木工の「職人心得」』(秋山利輝/著、「元気が出る本」出版部/編集、現代書林/刊)では、秋山木工グループの代表であり、著者の秋山利輝氏の体験をもとに作られた秋山木工の「職人心得三十箇条」を紹介する。

 秋山木工では、一流の家具職人を目指す若者を育成するために、8年にわたる独自の人材育成制度を設けている。秋山木工で家具職人を目指す者は、まず秋山学校に入学し、「丁稚見習いコース」で1年間みっちり学ぶ。秋山学校は、職人を目指すための心構えと基本的生活習慣を身に付けることを目的とした全寮制の学校。ここで実習と研修で基本を学ぶという。「丁稚見習いコース」を終了後、「丁稚」としての本採用となり、4年間で基本訓練、段取り、職人心得などを学ぶ。丁稚修行を経て、職人としての技術と心を身に付けた者だけが職人と認められる。そこから8年目までの3年間、職人として働きながら、さらに修行を続ける。8年間で、職人として必要なすべてを身に付け、9年目からは独立することになる。

 秋山学校は、今の時代からすると厳しくも見える規則がある。例えば「秋山学校に入学を許可されたら男も女も丸坊主になる」「携帯電話は禁止。連絡手段は手紙だけ」「研修期間は、恋愛は絶対禁止」などの「十の規則」が職人を目指す丁稚見習いと丁稚に課せられている。ここまで厳しくするのは、一流職人としての基礎づくりに集中するためだ。この若いときに8年間の修行が、生涯にわたって自分を支えてくれるからと、秋山氏は語る。
 秋山木工の評価基準は、技術力が40%、人間性が60%だという。職人なのだから、技術力に重きをおいてもいいのでは? と思ってしまうが、そうではない。秋山氏が育てたいのは、技術だけ優秀な「できる職人」ではなく、「できた職人」だ。「できた職人」とは、常にお客さまを喜ばせたいと思う心を持った人、不測の事態が起こっても、堂々と自信を持ってその場を乗り切れる判断力を持った人。お客さまとスムーズに話せるコミュニケーション力を備えた人。家具や材質について、どんなお客さまともしっかり話ができる人のことだという。そんな人柄が一流の「できた職人」を育てる。心が一流なら、技術も必ず一流になるという秋山氏の考えだ。

 本書の本編で紹介されている「職人心得三十箇条」は、入社するとすぐ全員に筆書きされたB4サイズの紙が渡され、一見一句、間違えずに言えるようになるまで暗記するものだ。読むだけなら、基本的なことばかりが書かれていると思うかもしれないが、自分を振り返ってみて、実際にできているのか。いかに基本が大切かをもう一度再確認しなければいけないと思わせてくれる一冊だ。
(新刊JP編集部)



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