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9月9日緊急対談 堺屋太一×竹中平蔵 国家戦略特区に期待すること

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9月9日 堺屋太一氏、竹中平蔵氏による 国家戦略特区に期待することに関して対談が行われました。

以下書起し
竹中平蔵> 今日は国家戦略特区について議論させてもらいたいと思います。アベノミクスの成長戦略の中で、国家戦略特区をやろうとしており、この国家戦略特区は、今までの特区と異なり総理が主導の特区であり、これまでの地方から国にお願いして国が上から目線で許可するというものとは大きく異なり、例えば、東京ヘッドクウォーター特区や北海道の輸出農業を特区にしてといった形で、特区を、国を代表して特区担当大臣、地方を代表して知事や市長、民間を代表して企業の社長という国、地方、企業の3者統合本部でミニ独立政府の様に決められる主体性を持った新しい特区です。この特区を活用して岩盤規制に切り込みたいと思っているのですが、堺屋さんはどう思いますか。

堺屋太一> 現在の日本は安全と平等、とくに安全に偏っています。楽しさとか喜びの沸き立つ感じではありません。高度成長期には効率を重視して、効率的に行けばいいというものがまだありましたが、今はほとんどありません。安全を重視する事に加えて、喜びを加えて行く必要があります。
こうした新しい日本の概念を作らないといけません。生産性が増えます、雇用が増えますというもののほかに、こんなに面白いです。楽しいですというものを作って欲しいと思います。

竹中> 堺屋さんは今、政府の参与、内閣の参与としてやっておられます。大阪の参与としてこれまでもやってきて、さらに内閣の参与として国へもアドバイスされ、東京へのアドバイスもされていたのですが、特区で何ができるのかと思っている皆さんに、例えば今のワクワク間の事例などご紹介いただけますか。

堺屋> 例えば大阪の川縁に楽しみ特区をつくろうと提案しています。その中では道頓堀をプールにしよう言っています。今のドブ川でなく、箱を入れて上水道を入れて、長さ800mのプールを作り、世界で一番水の美しい長水路のプールにして遠泳競技をやったり、川縁に船祭ができる様にします。まず広告規制の緩和、それから道交法の緩和を行うことを提案しています。世界中で映画のカーチェースの撮影しているが、日本ではできません。シカゴがコンベンションシティと言われていますが、ステートストリートで48時間前に申請すればどこでもパレードができるようになっています。シカゴ警察は有名ですが、いわゆる警察力というよりは、群衆整理が上手い警察と言えます。コンベンションが何故来るかと言うとパレードができる事に価値があります。こういう楽しみの町を広げて行くべきです。たしかに安全も大事ですが、同時に楽しみを考えたい。今度のオリンピックでも楽しいオリンピックをやると。

竹中> オリンピックの話もありますが、その前に今の広告の規制について説明してもらえますか。

堺屋> 日本では広告は必要悪の様に思われていますが、本来広告は、生産が上がる、大量生産効果でコストが下がるというそういう広告理論でした。最近は広告は心理的価値を上げるものにもなっています。例えばラグジュアリーブランドがあります。広告によって持っている人がいいものを持っている様に思う。すると本来の値段の何十倍の値段で売れる。これは持っている人が満足して嬉しく思う事が、市場原理の広告の価値になっているという例です。こうした状況を日本でもつくり、日本初のブランドを世界に広げられるようにしたいと思っており、そういう意味で広告の規制緩和をしたいと思っています。今まで広告は汚いものだと思っていたものを変える。2~30年前は服に広告をつけている人はいませんでしたが、今はTシャツは全て広告がついています。情報の一つとして重要な意味があるのです。楽しみ特区では、広告規制は全面的に緩和して大いに華やかで楽しい特区を作ろうと思っています。

竹中平蔵> 広告にしてもデジタルなテクノロジーも使えるので大いに可能性があると思います。しかし、特区提案を受け付けてもなかなか楽しい話が出てきません。その一つとして、役所があの手この手を使って、面倒な規制緩和を出すなとしているような説もありますが。

堺屋太一> たしかに主管官庁に言うと、「こういうのは無理だから辞めろ」とか、「問題出た時に君たちの責任になるよ」とか、そういう圧力はあるようです。安全第一でやっていれば、問題は起こりません。しかしそれでは楽しみもありません。あらゆるものを辞めたらいいという方向で21世紀は来ましたが、そろそろ日本も国民が夢を持てる様な国づくりを広げなければいけません。

竹中平蔵> アベノリンピックという言葉を使っているんですが、アベノミクスにオリンピックという追い風が重なりました。2020年は財政再建の目標年次でもあり、品川のJR車庫の跡地も2020年という年です。そこにワクワク感を持ってやっていきたいと思うのですが、一方で、「アレやるな」「コレやるな」という文化があります。猪瀬知事がオリンピックをやる意義の一つとして「心のデフレを取り除く」と言っていました。さあ、オリンピックに向けて、堺屋さんのアイデア、特区、規制緩和はいかがですか。

堺屋太一> ブエノスアイレスでの提案でも東京の提案はHow toばかりでした。How toでなく、Why Whatが抜けています。万国博覧会の際にもコンセプトから入りました。それが今の日本に欠けています。日本、東京の町を楽しい町にするんだという事を若い人にいいたい。日本はこんなに楽しい国になるんだから、若者も勢いづきましょう、子育てもしましょうと。このままでは日本は衰退の一方になりますから、チャレンジを辞めて安全第一でやってきた日本をここで流れを変えたいです。

竹中平蔵> 目の前の安全第一にいくと最も重要な安全が損なわれるという事は、原発のメッセージでもあったと思います。万博の例も参考になります。ミッションステートメントみたいなものが必要です。これから全内閣を上げて知恵を絞らないといけません。人生楽しいぞ、この町は楽しいぞ、この町は素敵だぞと伝える事だと思います。東京オリンピックの際に、吉永小百合さんのフレッシュ東京という歌がありました。「今年こそ今年こそ我が東京は世界の東京フレッシュ東京」と。今回乃オリンピックは十分煮詰まっていないうちに誘致が決まってしまった。世界中から人が来た時に、具体的に東京に何を見てもらおうか、何を規制緩和すればいいのでしょうか。

堺屋太一> 東京だけでなく、何十時間も滞在時間を延ばして、様々なところを見てもらわなければ行けません。医療特区を作って、最高の医療があるとか、東洋医学の鍼灸は最高のものがありますとか、日本中の名所、日本文化を宣伝すべきであり、キャラクター、アニメといったものも流行らせるべきです。東京オリンピックの歌と言えば「こんにちはこんにちは」があります。三波春夫だけでなく5人が歌いましたが、太陽の塔から歌まで戦略的に作りました。日本中に意気込みを賭したもので、その後、何とか博覧会がもの凄くできました。こうした事をもう一度21世紀に起こしたいと思っています。

竹中平蔵> そこに至るまでに、既得権益を守る様な人がいて、私たちを規制で阻んでおり、これとの戦いがあります。羽田にしても色んな規制があって便数も制約があります。日本の農作物も豊かに輸出したいと思っても規制があります。医療も外国の方が一杯来るが、日本の医師免許持っていないと治療できません。英語しかフランス語しか話せない人どうするんだとなります。オリンピックというのは、胸を開いてホスピタリティを持って、迎えましょうというものでなければなりません。そのためにも頑固な規制を変えて行きましょう。

堺屋太一> 「日本人は独特だ」と良く言います。昔、「エリクソンの携帯電話は日本人の顔幅に合わない」と言った官僚がいました。これに対してアメリカからベトナム戦争の時の膨大な資料で、「日本人にも合う」と言われてギャフンと言わされた大臣もいました。医療の世界でも完全にそうで、日本で試験をしたものでないと薬は認めません。それで新しい医療品や医療器械が使えないという問題が現実に出てきています。そういうものを医療特区でどんどん認めて行く事は、日本人にもいい事だと思います。こうした事も含め、各都道府県には、大胆に岩盤規制に挑戦してもらいたいと思います。こっちの中央官庁に聞くと「だいたいそういう特区の申請なんて出てきません」と言いますが、担当者にかなりの圧力がかかっているという話もあります。

竹中平蔵> フォローアップの仕組みが産業競争力会議にあって、堺屋さんも私もいるので、安心してどんどん出してください。「こういうのを出したら政府が怒る」とか嘘ですから。「日本人が独特だ」というのが独特なんです。

堺屋太一> 日本人は特別に酒に弱い体質だといって、アルコールの検出が日本は0.15mgになっていますが、よその国は0.45mg。ノルウェーだけが低い。日本では同様に、建築基準法はドイツといった様に、世界中で一番厳しい貴重な例のものをいいます。真ん中を取ってAもBも重要だと、安全も楽しみも成り立つ社会をめざして欲しい。どっか一本に偏っては行けません。戦争に行ったものとしてそこは強く感じます。都道府県の人も頑張って知恵をしぼって、そして中央官庁の人も率直に受け止めて、江戸の敵を長崎で討つ事がない様にしてもらいたい。

竹中平蔵> オリンピックをやってホテルができる競技場ができるといったハードな経済効果は少ないですが、国のシステムをオープンにしようというものやルールというものは大きな効果があります。その追い風としてオリンピックがあるわけです。もう時間ですので最後に特区に期待する事を一言お願いします。

堺屋太一> 1984年のロサンゼルスオリンピックで、ユベロスという人がいました。これがレーガノミックスと一緒になって機動力になりました。ロサンゼルスオリンピックは、まったく民営で補助金なしでキャラクターや放送権を売って行いました。2020年の東京オリンピックにおいても、アベノミクスとオリンピックを上手に結びつけるそういうプロデューサーが欲しいと思っています。

竹中平蔵> 堺屋さんしかいませんね。ありがとうございました。

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