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復活するための条件とは

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■相棒がいたから再び舞台に立てた

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「復活」という言葉がこれほどふさわしいコンビもいないだろう。

お笑いコンビの松本ハウスは、1999年12月末を最後に活動を休止した。コンビの一人、ハウス加賀谷の統合失調症が悪化し、入院生活を送ることになったからだ。

『統合失調症がやってきた』は、そんな加賀谷の半生とともに、2009年に再び松本ハウスが舞台に立つまでの物語を描いた本だ。母親の前で良い子であり続けるために被った「仮面」、中学生時代に始まる幻聴や幻覚、自己臭恐怖症、「ホームレス」と答えた進路面談…不安、焦燥、孤独だらけの人生のなかで、お笑いは、加賀谷がやっと見つけた「居場所」だった。

この時期の彼の心情を吐露しているくだりは、ただただやるせない。「大嫌いな自分を認めてほしいから頑張る。/頑張ると評価され、認められていく。認められるほど、自己否定は強大になっていく」。この悪循環のなかで薬を大量服用し、結果、さらに統合失調症を悪化させていく。そして閉鎖病棟への入院──。

それからの10年にわたる療養生活を経て、復帰をとげた加賀谷の幸運は、松本キックという「相棒」がいたことだろう。同書には松本キックの視点で語られた文章がところどころに挟まっている。そこには「相棒」というだけでは説明できない、腐れ縁の愛が目一杯つまっている。

■復活の決定的条件は「信頼と協力」

コンビの復活もあれば、村の復活もある。『ローマ法王に米を食べさせた男』は、過疎高齢化が進み、限界集落となった村を復活させた市役所職員のお話だ。

立て直しプロジェクトの年間予算はたったの60万円。それも、著者自ら決めた額というから驚きである。だが、それと引き換えに、プロジェクトのスピード化を図るために、稟議書も決裁書も出さず、すべて事後報告という方法を認めてもらった。これまで様々な対策をしても、過疎化は一向に止まらなかった。「それで長い間、間違った判断を下してきた人たちに稟議書を出して、もう一回伺いをたてるのはおかしいと思ったんです」。この「復活」は、並外れた企画力、実行力の賜物ということができるだろう。

『レジリエンス 復活力』は、個人や組織、企業、コミュニティ、地域、国家など、分野の垣根を越えて「復活力」を包括的に研究したユニークな学術書だ。完璧なシステムの脆さ、いさぎよい失敗の必要性、多様性の確保など、さまざまな復活力の条件が挙げられているが、なかでもある集団の復活に決定的な役割を果たすものとして著者が挙げているのが「信頼と協力」である。松本ハウスしかり、地域再生しかり、東北復興しかり、であろう。

(斎藤哲也)

<書籍紹介>
●『統合失調症がやってきた』ハウス加賀谷、松本キック/イースト・プレス/1365円
●『ローマ法王に米を食べさせた男』高野誠鮮/講談社/1470円
●『レジリエンス 復活力』アンドリュー・ゾッリ、アン・マリー・ヒーリー/ダイヤモンド社/2520円
(R25編集部)

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