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初秋の酒「ひやおろし」が人気拡大

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夏の盛りが過ぎると間もなく、酒屋の軒先で「ひやおろし入荷しました」と、告知が始まる。ひやおろしとは、冬に仕込んだ新酒を酒蔵でひと夏貯蔵し、9月初旬から出荷される日本酒のこと。酒造メーカーが満を持してリリースする秋の味わいだ。

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「春先に出回る新酒とひと味違う、まろやかでふくらみのある味わい。江戸時代には“酒はひやおろしをもって最上とす”ともいわれていたんです」

と、語るのは日本名門酒会(酒類卸売り業者の岡永が運営)の臼倉克典さんだ。夏の間、温度や湿度が管理された酒蔵でじっくり熟成させるので、アルコールのトゲトゲしさがやわらぎ、米の旨みが増すという。

大きなポイントになるのが「火入れ」と呼ばれる加熱殺菌の工程。多くの日本酒は、搾った後と瓶詰めの前に、合計2回の火入れを経ているが、ひやおろしの場合は1回しか行われない。2回目を省くことで作りたての豊かな香りが残るのだ。

ひやおろしの語源も、2回目の火入れをせず「冷や」のまま「卸され」たことから来ているそう。臼倉さんがいうように、江戸時代から酒好きに愛されてきたが、保存が利かないので、広く流通させるのは難しい。そのため、近代になってもほとんど酒蔵の地元でしか飲むことができず、一般にはあまり知られていなかった。卸売りの岡永が、各地のひやおろしを扱い始めたのは、いまから28年前。冷蔵輸送が普及した頃からだ。

それから、徐々に市場へ浸透し、岡永でもひやおろしの売り上げが前年比5~10%のペースで伸び続けているという。今では、一般の酒屋や居酒屋で広く扱われ、苦労して探したり、取り寄せたりしなくても、全国のひやおろしが手軽に楽しめる。

岡永では、現在60種類以上のひやおろしを取り扱う。飲み方は冷酒でも燗酒でもOKだが、売れ筋の「一ノ蔵」や「浦霞」(ともに宮城県産)などは、「爽やかな飲み口で冷酒に向いている」と臼倉さん。同じく人気が高い「五橋」(山口県産)、「司牡丹」(高知県産)など、甘みやコクが濃厚な酒には燗がおすすめだという。

つまみにサンマやキノコなど秋の味覚を用意し、ひやおろしを一杯。季節を感じられるツウの楽しみだ。
(小越建典/アバンギャルド)
(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびweb R25から一部抜粋したものです
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