街歩きを楽しむための「地形図」を読む技術

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街歩きを楽しむための「地形図」を読む技術
 江戸切絵図などを持ち歩きながら行う昔探し、構造物に覆い隠された真の地形をのぞき見る坂道歩きや川跡探しなど、地図を広げて行う街歩きだが、こうした街歩きで活躍するのが、「地形図」だ。

 『地形図を読む技術』(山岡光治/著、ソフトバンククリエイティブ/刊)では、地図遊びをするときに、なぜ見やすい市販の地図ではダメで、ゲジゲジな高等線が入った地形図ならいいのか。地形図からはなにが見えて、なにがわかるのか、などの疑問に答えながら、地形図ならではの情報を読み取る技術を解説する。

 そもそも地形図というのはどのようなものなのか。本書を参考に説明しよう。
 「地図の中の地図」ともいえる地形図は、基準点などにもとづき、三次元である地表の風景を平面に正確に縮小表現したものだ。しかも山や川、植生といった自然はもちろん、道路や鉄道、建物といった人工物も平面に表現され、実際の地上にはない地名や行政界なども用意されている。そして、明治、大正、昭和前期、昭和後期といったスパンで、日本各地のそのときどきの姿を正確に知ることができる。
 なので、地形図を読み、再現する知識があれば、居ながらにして各地のそのときどきの立体的な風景を知ることができるのだ。

 地形図を持ちながら、都市で昔の川や町並みの痕跡を探したり、里山やちょっとした野山を快適に歩いたりするための技術も本書では紹介している。
 蛇行跡などをたどり、道の緑に残されているかつて河川の緑にあった石積みや、片方だけ残った橋の親柱といった川跡の痕跡を探し歩くのは楽しいものだ。
 例えば都会で川跡探しをする場合、都会歩きには、1万分の1地形図が有効だと著者は言う。1万分の1地形図は、全国の主要都市について整備されていて、維持管理は十分ではないが、食べ歩きやショッピングを楽しむわけではないので少し古い地図でも差し支えない。
 都会では市街地が際限なく進行して、宅地に適した台地、谷間に広がる狭い平野、海岸近くの低湿地さえも開発しつくされている。谷間を流れる河川も例外ではないため、事前調査なしに出かけても目的を達成できない。楽しみも半減してしまう。
 川跡探しをする街歩きは、使用する地図を用意し、古地図といった資料をもとに谷を探すことから始まる。多色刷の江戸切絵図や古地図、空中写真などを駆使することによって、おおよその川筋を現在の地図に書き込む。あるいは重ね合わせたものをベースにして情報を収集するのが、川跡探しの基本だ。

 地図が好きな人は、地図を見て旅行に行った気分になるという空想に耽って楽しんだりするはず。さらに行動的な人は実際に旅行に行くこともあるだろう。その際、地形図も見ながら、その地を空想したり、旅行に出かければ、楽しみの幅も広がるはずだ。
(新刊JP編集部)



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