限定正社員制度を喜ぶ人、憂う人

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限定正社員のメリット・デメリット

限定正社員制度を喜ぶ人、憂う人

「限定正社員」という言葉は今年の春頃からよく聞かれるようになりました。この制度は、「アベノミクス」の成長戦略の一つとして捉えられています。では、限定正社員制度とはどのようなものなのでしょうか?

以前より「地域限定正社員」という働き方があります。これは一定の地域内でのみ配属することや、異動に制限を設けることを条件に契約する正社員のことです。勤務地が通勤可能な範囲内に限られ、原則として転居を伴う転勤がありません。「エリア総合職」や「エリア限定社員」と呼ばれ、特に大企業の人事施策として利用されてきました。

限定正社員も従来型の地域限定正社員と同じような制度であり、勤務地や仕事の内容を限定した「無期雇用契約の正社員」です。限定正社員のメリットとしては、「子育てや介護などと両立しやすい」「派遣社員やパートよりも待遇が良い」「仕事内容が変わらないため専門性を高めやすい」といったことが挙げられます。しかし、地域や仕事内容が限定されているだけに、事業所閉鎖や担当業務が無くなった場合は解雇の可能性が高くなることは否めません。

企業と派遣社員・パートは喜び、正社員は憂う?
では実際のところ、限定正社員制度が導入された際に、喜ぶ人、憂う人は一体誰なのでしょうか?まず、企業にとっては、勤務地や仕事内容を限定することで正社員よりも低いコストでの採用が可能となるだけではなく、限定された契約に見合った仕事が無くなれば契約解除を行いやすくなります。したがって、限定正社員を導入するメリットは大きいといえるでしょう。また、現在、派遣社員やパートとして働いている労働者にとっては、地域や仕事内容が限定された上での「無期雇用」は魅力的です。なおかつ、現状より待遇面が改善されると考えれば歓迎する人も多いと考えられます。

一方、現在、正社員で働く人たちはどうでしょうか?限定正社員という選択肢が新たに増えることで、何かしらの理由でその道を受け入れざるえない状況になれば、その後は契約内容によって職を失うリスクが高まります。雇用の安定度が下がるため、制度の導入に否定的な人も少なくないでしょう。

限定正社員制度の導入に関しては、企業側と労働者側の立場の違いや雇用形態などによってメリットとデメリットはさまざまです。ただ、今後ますます人材が流動化する世の中になっていくことは間違いありません。そのような中でも人々が安定的に仕事に就けるようにするためには、多様な働き方ができる制度・仕組みを整備していくことが求められるといえるでしょう。

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