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憲法にまつわる“中二病”の直し方

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■憲法は国家権力を縛るためのもの

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「私の見るところ、日本国憲法はすでに死んでいます」というケンシロウばりの死亡宣告から始まるユニークな憲法入門書がある。宮台真司、橋爪大三郎、副島隆彦といった現代のスター論客たちが師と仰ぐ小室直樹の『日本人のための憲法原論』がそれ。同書は、もともと2001年に発売された『痛快! 憲法学』の愛蔵版であり、憲法入門書のロングセラーとしていまなお読まれ続けている1冊だ。

本当に憲法が死亡しているかはさておき、この本の特徴は、憲法の“そもそも論”を展開している点にある。たとえば小室氏は「憲法は誰のために書かれた法律か」と問う。「日本人」とか「国民」とか答えた人は「不合格」。正解は「国家権力すべてを縛るため」すなわち「憲法とは国家を縛るための命令」であるというのが、憲法理解の第一歩だという。

こうした“憲法そもそも論”のレクチャーは、西欧における憲法や議会、民主主義、資本主義の成立史から、キリスト教との関係、日本的デモクラシーの原理である「天皇教」まで広がっていくが、先のスター論客たちをして「天才」と言わしめた小室氏の解説力は、池上 彰にも負けていない。世界史や日本史、宗教、思想のさまざまな知識が、憲法や民主主義を主題として明快なロジックで組み立てられていく名講義には舌を巻くばかりだ。

■いまの改憲論議に想像力は足りているか?

“憲法そもそも論”を学んだ後には、憲法の使用法に歩を進めてみよう。そのうってつけの1冊が1980年生まれの憲法学者のホープ・木村草太氏による『憲法の創造力』だ。

君が代不起立問題、一票の格差、裁判員制度、生存権、憲法9条などを題材に、その「通説」や「大原則」と真正面から対決するさまは読み応え十分。とくに裁判員制度を論じた章は、著者同様に「ナメんじゃねぇ」と最高裁判所に言いたくなること必定だ。「憲法問題を考える際には、様々な角度から思考を巡らせ、苦境に置かれた人々の状況に想像力を働かせなければならない」と、「思い込み」で論じがちな中二病的な憲法論議に一石を投じている。

この2冊を熟読すれば、憲法脳もだいぶ鍛えられているはず。そこで実際の『日本国憲法』を読んでみると、第三章で列挙される国民の権利のリストは、ずいぶん違って見えてくる。そうか、憲法はこれを保証しろと権力に命じているわけか。

ついでに自民党の憲法改正草案もチェックしてみよう。現憲法に比べて、国旗や国家を尊重しろだの、家族で助け合えだの、国家権力ではなく国民に命令する条文がやたらと増えていることに気づくだろう。小室先生が読んだら、「不合格!」とヘソで茶を沸かすにちがいない。

(斎藤哲也)

<書籍紹介>
●『日本人のための憲法原論』小室直樹/集英社/1890円
●『憲法の創造力』木村草太/NHK出版/819円
●『日本国憲法』小学館/525円
(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびweb R25から一部抜粋したものです
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