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日本人が誇れる三つの強みとは?―連載「せかフツ人に聞く!」

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 ビジネスの現場に携わっていると、多かれ少なかれ悩みや課題は出てくるもの。そして、その悩みを解決しても、また新たな課題や疑問に立ち向かわなくてはいけません。
 では、そんな課題を世界で活躍しているビジネスパーソンはどのように解決してきたのでしょうか?
 この連載では『そろそろ、世界のフツーをはじめませんか―いま日本人に必要な「個で戦う力」』(日本経済新聞出版社/刊)で日本のエリートビジネスパーソンでも世界に追い付けていない人が多いと指摘する今北純一さんと船川淳志さんのお二人にご協力いただき、ベテランビジネスパーソンとしてアドバイスをもらうという企画です。
 質問者の悩みと少しでも被る人がいれば、国境を越えて活躍をする二人の真摯な回答を是非参考にしてください。(新刊JP編集部)

■今回の質問
Q、お二人から見た日本人の良さってなんですか? 日本人として誇るべきところが私には見当たらないのです。

【船川さんからの回答】
「底力、独特の美意識、間。この三つを先人たちに学べ!」

これは良く聞かれる質問なのですが、二つの視点があると思います。
まず、以前はたしかに強みであり誇れる要因であったものが、今、あるいはこれからもその強みを発揮できるのだろうか?という視点です。例えば、日本人の強みとして「チームワークの良さ」が指摘されることが良くあります。しかし、グローバル社会では、日本人だけのチームではなく、世界中の様々な国の人とのチームワークが求められます。多様性の高い環境の中で果たしてチームワークや気配りの精神が発揮されるのだろうか、というとちょっと心もとない状況であると言わざるを得ません。
もう一つは、それは、日本人固有の要件だろうか?という視点です。例えば、謙譲の美徳が指摘されることがありますが、欧米やアジアでもそうした「奥ゆかしさ」を持つ方にも何度となくお会いしたことがあります。
つまり、世間で言われるステレオタイプ的に言われる「日本の良さ」については、私はかなり厳しい見方をしています。
そんな私でも、日本人の強み、あるいは日本人として誇れることが三つあります。

まず、「せかフツ」の中でも指摘していますが、江戸から明治にかけて成し遂げた短期間での近代社会への転換、そして戦後の焼け野原からの復興におい発揮された底力です。つまり、開き直った時の日本人が示す集中力や学習能力は秀でたものがあると思います。
次に、独特の美意識です。かつて、日本の浮世絵がゴッホやセザンヌをはじめとすると印象派の画家たちに大きな影響を与えたことは有名ですが、それは世界に広まったアニメの世界にも通じることだと思います。
三番目にこの美意識と多少重なることかもしれませんが、「間」のコンセプトです。「間」とは、スペース(空間)であり、タイミング(時間)でもあり、そして人間関係の「間」にも応用できるコンセプトです。龍安寺の石庭は世界的にも有名ですが、造形美だけではなく、この「間」の概念が活きていることです。

相手との「間」について徹底的に極めた方の一人として、合気道創始者の植芝盛平が挙げられます。相手との呼吸をあわし、まさに一瞬の「間」を捉えて相手を制するのです。彼の高弟の塩田剛三はジョン・F・ケネディの弟のロバート・ケネディが来日した際に、巨漢のシークレット・サービスを赤子扱いにしている模様がYouTubeに出ています。是非、ご覧ください。
こうした偉大な「間」の達人がいるわけですから、我々も自信を持って、グローバル社会の中で、新たな「間」を模索し、世界の人と共有していければ日本人が輝いていくのではないでしょうか。

【今北さんからの回答】
「まずは日本を知ること、そこから日本人として誇れるものが見つかる」

「日本人として誇るべきところが見当たらない」とのことですが、私が20代後半に意を決して日本の会社を辞め、ヨーロッパに向けて出奔したとき、全く同じ気持ちを抱いていました。自分の身の回りを見渡して、もし誇れることだらけであったとしたら、日本を出ることなど考えもしなかったでしょうから当然です。

皮肉なことに、日本人として誇るべきことに気づきを与えてくれたのは、ヨーロッパの人々でした。京都や奈良に限らず観光立国としての日本の素晴らしさ、織物の優れた色彩感覚、能や歌舞伎の幽玄な世界、清潔な都市、日本人の親切心、安全・安心な国としての日本など、数え上げれば切りがありません。
そして、私が同時に自覚したことは、日本の文化、伝統芸能、それに日本についての歴史観と、どのテーマに関しても、生半可な知識しか持ち合わせていなかったということでした。

一般論として答えるのはむつかしいですが、日本人として誇れる領域の一つに、「極致を目指す精神」があります。それは、陶器や工芸品であれば、技巧における完成度を極めるということになるし、伝統芸能であれば、芸の奥義を訴求するということになり、また食文化であれば、味覚の絶対的調和に向かって求道者のごとく修練を積み重ねるということになります。
食文化を例に挙げると、いま、「求道者」という言葉を持ち出しましたが、高級グルメでもなんでもない大衆食のラーメンにまで、「ラーメン道」と呼称してもいいような精神論が日本人の間では違和感なく受け入れられています。
そして、日本人の場合は、凝り性をはるかに通り越して、際限のないほどに食文化の専門化を推し進めてきた結果、懐石料理をはじめとして、鮨、天ぷら、うどん、そば、カレーライス、とんかつ、焼き鳥、うなぎ、どじょう、おにぎり、お茶漬け、お好み焼き、鍋料理、などなど、それぞれに対応した専門店があるわけです。これほど細分化・専門化した食文化を開拓した国は日本くらいのものでしょう。

「求道者」と言えば、スポーツの世界でも、同様の精神論が通用します。例えば、プロ野球の世界で、「生涯一捕手」などといった表現には、その人の人生哲学がにじみ出ています。
こういった「求道者」のごとき精神が、実は、これまでの日本の産業の技能・技術の原動力でした。「モノづくり」にかけては、日本は世界に冠たる一流国であることは間違いありません。

このように、日本の良さ、ということについて例をあげていくことはいくらでもできます。
でも、外国に対して、あるいは外国人に対して「日本人として誇るべきところ」というのは、
人から教わるものではなく、自分自身の知的好奇心を頼りにして自ら見つけていくものなのです。

そのためには、日本人は、日本のことについて、もっと理解をしないといけません。とりあえず、自分の興味のあることを、日本という国の視点、そして日本人という視点から、少し深く掘り下げていくということに着手したらいいでしょう。日本という国の良さは、実は奥が深いのです。いまの日本人にはこの奥の深さが次第に見えにくくなっています。あくまで、自然体で、自分の身の丈に合ったやり方で、日本という国の良さ、日本人の良さを発見していってください。そうしているうちに、「日本人として誇るべきところ」は見えてきますし、この良さを守り、もっと進化させたいという気持ちが芽生えてくることでしょう。
(新刊JP編集部)



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