ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

東浩紀「検索だけでは、真に新しい情報は得られない」

DATE:
  • ガジェット通信を≫

メールやSNSは、今や公私ともに不可欠なツールとなりつつある。だが、ネットが便利に使えるあまり、リアルな行動がおろそかになってはいないだろうか? そこで今回の「自問多答」では、ゲンロン代表として様々な事業に取り組む思想家・東 浩紀氏をゲストにお迎えし、ネットとの理想的な付き合い方を直撃した――

【画像や図表を見る】

乙武: 東さんも僕も、日頃からTwitterなどを積極的に活用している方だと思いますが、ネットを介したコミュニケーションについて、閉塞感を覚えることってありますか? …もっとも、お互いその点に無頓着だからこそ、よく炎上しているような気もしますが(笑)。

東: たしかにそうかも(笑)。まあ、あまり気にしすぎると、何もできなくなっちゃいますから。僕は閉塞感よりも、ネットの“限界”みたいなものが気になってますね。

乙武: ネットの限界。それはどういう意味ですか?

東: 何か知りたいことがあると、たいていの人はまず検索をしますけど、検索ワードというのは結局、自分の頭のなかにあるものでしかないわけです。つまり広大なネットの世界に触れているようでいて、実際には想像の範囲内の情報しか集まってきません。検索で真に新しい情報が得られるとしたら、たとえば、見知らぬ土地で見たこともない何かに触れ、「これは何だろう」と検索してみた時だと思うんですよ。

乙武: なるほど。パソコンもネットも非常に便利なツールだけど、結局は自分のリアルな世界と連動しているのだから、無限ではないと。

東: ただパソコンの前にいて、クリックひとつで引き出せる情報というのは、じつはネットのなかのごく一部分でしかない。より広いネットの世界に触れるためには、リアルの自分が動くべきなんですよ。

乙武: 逆もまた然りでしょうね。なんとなくネットを見ていて、たまたま出くわした情報が気になって、実際に見に行ったり会いに行ったりして、見聞が広がる。そんな双方向での作用が生まれれば、いっそう理想的です。

東: そうですね。今度、自社で『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』という本を出すんですが、これなどは象徴的でした。ウクライナ人にインタビューをしようと考えたものの、誰にどんなルートであたればいいのか見当もつかない。けれどロシア語ができる人に頼んだら、会議中にSNSで検索し、その場で取材を打診。会議が終わる前に返事が来て、取材が確定したんです。

乙武: それはすごいスピード感。ネットがこれだけ普及した今だからこそ可能な手法ですよね。

東: その通りです。題材としては海外取材物だから、リアルな現場志向の本をイメージされると思いますが、実際にはネットによって行動が左右されている。リアルとネットは、もはや切り離せないほど結びついているんですよ。

乙武: 「現場=リアル」を重視して取材しながらも、その準備にはネットが欠かせない。両者を有機的に結びつけていきたいですね。

(構成:友清 哲)

【今回の対談相手】
東 浩紀さん
1971年、東京都生まれ。作家、思想家として活躍する一方、ゲンロンの代表取締役兼編集長として『思想地図β』などの書籍を出版。新刊『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』が発売中

(R25編集部)

東浩紀「検索だけでは、真に新しい情報は得られない」はコチラ

※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびweb R25から一部抜粋したものです
※一部のコラムを除き、web R25では図・表・写真付きのコラムを掲載しております

(web R25)記事関連リンク
乙武洋匡の「自問多答」
[対談]乙武洋匡×津田大介(1)
[対談]乙武洋匡×堀潤(1)
[対談]乙武洋匡×荻上チキ(1)
R25をオフラインで読める無料アプリ(外部サイト)

カテゴリー : 未分類 タグ :
R25の記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP