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ネット選挙解禁で、政治は変わる?

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■投票率は上がらないしカネはもっとかかる

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いよいよ、この参院選からネット選挙が解禁される。今回からは党も候補者も有権者も、ネットメディアで選挙期間中に選挙運動をしてOKとなるわけだ。

では、それで政治はどう変わっていくの? 若者の投票率が上がったり、選挙にお金がかからなくなるの? こうしたネット選挙にまつわる疑問や誤解に対して、説得力ある議論を展開しているのが若手論客・西田亮介氏の『ネット選挙』だ。

投票率については、同書が紹介する韓国の事例が興味深い。韓国は日本に先駆けてネット選挙を解禁したが、02年、07年の大統領選の投票率は1990年代よりも大幅に下がっているんだって。カネの問題に対しては「ネットツールは無料だが、効果的な運用をするにはそれなりのコストがかかってくる」。実際、同書を読むかぎり、この解禁で最も色めき立っているのは、「ネット選挙特需」に沸いている広告代理店やマーケティング会社だ。著者がチラ見した某企業の営業資料には、「フェイスブックアカウントの運用に月額30万円の費用が計上されていた」とか。ネット選挙解禁で、候補者には手間もカネも余計にかかってきそうだ。

ってな具合に、ネット選挙に過剰な期待は禁物だとする同書も、解禁そのものには賛成している。中長期的には政治を透明化し、国民と政治家の距離を近づける可能性を開くものだからだ。

■オバマ大統領選が示すネット選挙の未来

ネット選挙の行く末を展望するうえで、格好の事例はオバマの大統領選だろう。『YouTube時代の大統領選挙』を読むと、08年の米大統領選では、徹底したソーシャルメディアの活用がオバマに勝利をもたらした様子がよくわかる。とりわけ「攻撃された側が、数時間、あるいは1日か2日ぐらいのスピードで、反撃のヴィデオをアップロードする」という、You Tubeを介した広告合戦は壮絶だった。

今回の参院選でも、各党、候補者がネットメディアをどう活用するかは要注目だが、2012年のオバマはその先を行っていた。それが「ビッグデータ」の活用だ。蓄積されたネット上のデータから投票してくれそうな有権者を割り出し、属性にあわせて最適な方法でアプローチする。その精度が勝敗を決するビッグデータ選挙が現実化しつつある。でも、そこに死角はないか?

『ビッグデータの正体』は、データ分析の威力を認めつつ、予測と確率が支配する世界のリスクも同時に警告する。プライバシー問題は言わずもがな。自由意志すら脅かされる可能性も示唆している点が怖い。

ネット選挙は、情報社会の未来をうらなう試金石でもあるようだ。

(斎藤哲也)

<書籍紹介>
●『ネット選挙解禁がもたらす日本社会の変容』西田亮介/東洋経済新報社/1575円
●『YouTube時代の大統領選挙』大柴ひさみ/東急エージェンシー/1680円
●『ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー ケネス・クキエ/講談社/1890円
(R25編集部)

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