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ゴシック&ロリータ女子の支持の秘密は?水彩画家・たまさんインタビュー「お人形さんに自分を重ね合わせている部分があります」

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繊細な色使いと少しダークなアイテムに囲まれた大きな瞳の女の子を描き続けている水彩画家たまさん。その独特な乙女世界は『KERA』『ゴシック&ロリータバイブル』(どちらもインディックス・コミュニケーションズ)に掲載されていたほか、2008年より4年連続で東京・銀座にあるヴァニラ画廊で個展が開かれるなど、ゴスロリ女子から熱い支持を得ています。
そんなたまさんが京都嵯峨芸術大学で 2013年6月11日から6月16日に開催された『Comic Art Sensation vol.2』に出展。最終日にはサイン会も行われ、多くのファンが駆けつけました。
『オタ女』ではサイン会直前にインタビューを実施。水彩という技法への思いや作品に込められたテーマなど、さまざまなお話を頂くことができました。

--たまさんはずっと女の子を描き続けていらっしゃいますけれど、様々な画材から水彩を選んだ理由について教えて下さい。

たま:理由は凄く簡単です。大学の時はリトグラフを学んでいて、溶き炭を使ったりクレヨンを使ったり、油性の画材を使って版画を摺るというものなのですけれど、大学が終わると設備がないので、自宅では無理。それで何で絵を書こうかという時に、炭にも似ていて滲みとかが表現できるためだと、水彩が手っ取り早かった。私はできる範囲のことしかやらない面倒くさがりなので、新しい画材を使おうということは考えず、手一本でやるということを突き詰めるには水彩がよかったんです。そういったスタンスはめずらしいみたいですね。

--たまさんの作品は、淡さと鮮やかさが合わさった色使いが印象的です。そのイメージはどのように決めていらっしゃるのでしょうか?

たま:描こうという時にはだいたいの色のイメージはあって。ピンクの紙にしようとか、海だからブルーにしようとか、そういうところからテーマ色をなんとなく決めていきます。当たり前の色をできるだけ使いたくないとは思うのですけれど、肌の色とか色は変えようがないものがありますよね。リアルに存在するものはそのものとして感じてほしいのでそのものの色で、動物や植物、背景には変わった色を使いたいな、ということが多いです。

--蛇や植物が女の子の身体に絡みついているという作品もお描きになっています。Lost Garden~少女主義的水彩画集III』(アトリエサード)では女の子が女の子に噛み付いているというものもありました。

たま:女の子を登場させる時、蛇とか植物とかを融合させたいんですよね。身体から生えているとか噛み付かれているとか。女の子をそうすることで異空間というか現実から離れていく感じがしますし。絡みついていることにより、逃げられない状態になっている。束縛されているというイメージが多いかもしれませんね。

--作品に登場する女の子の表情が茫洋としているところも魅力です。もともとお人形が好きということですが、重ね合わせている部分があるのでしょうか?

たま:私はアンティークドールがずっと好きで。なかなか自分で買うことは出来ないので、本や写真で見て「いいな」と描きたいというのがはじめの頃にはありました。女の子ってお人形さんみたいな、感情がないものに憧れがあったり、喜怒哀楽をどこかに置いていきたいということがあるのかもしれませんね。私も心の変化がない方がいいと思うことががあるし、痛みを感じずに哀しい思いをしないでいいという時がある。人形なら何されても痛くないだろうし、そこに自分を重ねている部分があるのかな、と思うことがあります。

--そのようなイメージが『KERA』の読者やゴスロリファンの女子たちに支持されていますが、ご自身の内面とつながっているのかもしれませんね。

たま:よく私はゴスロリ作家みたいに言われる機会がありますけれど、実はあまり意識して考えたことがないんです。でも、実際に観て下さる方には「元気が出る」とか言われますね。死にかけている女の子の絵を描いているんですけれど(笑)。私自身も基本ネガティブなので「頑張れ」と言われたら頑張りたくなくなるので、同じような性質の人が共感してくれるのかもしれません。

--制作の話もお聞きします。さまざまなモチーフの作品をお描きになっていますが、一枚を描くのにどれくらいかかるのでしょう?

たま:水彩は乾かす必要があるので季節にもよりますが、だいたい二週間から三週間くらいで、一日10時間くらい向き合っています。私の場合、一枚仕上げてから次の一枚に取りかかるので、生っぽい植物系の絵を描いた後は硬めのものを描きたくなって、少しグロめのものだと、次はロマンティックなものを描きたくなるんです。気分を変えたいというのと、興味が別のものに移るのかもしれません。

--今回は大学のキャンパスでの展示で、ギャラリーとは少し趣きが違っていますね。

たま:2014年に嵯峨芸の短期大学にコミックアート学科が出来る予定で、それに合わせてイベントが開催されることになったのですけれど、大阪の専門学校の講師を務めた時の知り合いの関係でお誘いいただき、コミックアートにも足を突っ込んでいる作家として参加させて頂くことになりました。自分がコミックアートに含まれるのかちょっと分からないところではあるんですけれど、最近確立したジャンルで決め事はないですし、ゴスロリの要素もあるので、大きな枠で捉えてもらえるといいな、と。

--イラストを学ぼうという人は年々増えていますが、たまさんから見てどのような印象をお持ちでしょうか?

たま:コミック系の学生さんに限ると、ファインアートの人とは作品に対する考え方が違いますね。CGもそうですが、簡単に絵が描けるようになって、色一つとってもすぐに変えることが出来ますよね。もう少し「なぜ描くか」という背景を考える方が楽しいんじゃないかな、と感じることがあります。 

--関西での展示やイベントも出ていらっしゃいますが、首都圏との空気の違いはありますか?

たま:アングラ系を扱う展示やイベントは少しずつ増えてきていますが、まだまだ少ないですね。DMを置いて頂こうとすると、「これはちょっと…」と断られてしまうこともありますし。お土地柄もあるのか、作品の種類やお客さんの見る目が違ってはいますよね。それでも、展示があると作家さんや好きなファンが固まってきていますし、今回のような機会がつながっていければいいなと思います。

--最後に、今後のご活動について教えて下さい。

たま: 今年の上半期はグループ展やイベントに何回か出させて頂いたのですけれど、今は次の個展のために気合を入れて描き溜めているところです。来年の夏くらいにできればと考えていますので、決まり次第皆さんにお知らせできればと考えています。

--素敵な作品、楽しみに待っています。ありがとうございました!

スイギョノマジワリ(公式サイト)
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記者:

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

ウェブサイト: http://yaplog.jp/parsleymood/

TwitterID: parsleymood

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