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「火力発電」依存度90%超の不安

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間もなく本格的な夏がやってくる。気象庁の発表によると、今夏は太平洋高気圧の勢力が強まるため、例年より暑い夏になる可能性が全国的に高いようだ。

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となると気になるのが「電力需給」だが、今夏は東日本大震災以降、初めて数値的な「節電目標」を設けない夏になる。電力需給の懸念があった9電力会社とも、安定供給に最低限必要な「供給予備率3%以上」を確保できる見通しとなったためだ。

「なら心配いらないじゃん」――多くの方はそう思って安心しているかもしれない。でも、それは大いなる誤解のようだ。

「震災以降、電力供給面では“綱渡り”が続いているんです。現在の電力供給はあくまで“急場しのぎ”の体制であり、持続可能性という観点でいえば、“かなりか細い綱を渡っている状態”といえます」

今回、取材に応じていただいた電力業界関係者はそう明かす。

震災以降、原発の停止により火力発電への依存度が一気に高まったのはご存じの通り。発電電力量に占める火力のシェアは、震災前の62%から88%に急増。特に「石油火力」への依存度は、震災前の7.5%から18.3%へと2倍以上に増えている。

「それのどこが問題なの?」と思うかもしれないが、頼みの綱の火力発電には大きな不安点がある。一言でいえば「年を食ってだいぶガタがきている」のだ。

特に石油火力発電所には“お年寄り”が多く、約8割が運転開始から30年以上経っている。さらに震災後、停止した原発の代わりに再稼働した火力発電所の運転年数は平均約36年。なかには東京電力・横須賀火力3号機・4号機のように、運転年数48年なんて大ベテランも存在する。

そもそもこれらの火力発電所は、震災前は停止していたもの。いわば現役引退していたシニア選手を復帰させ、老体にムチ打って試合に出しているようなものなのだ。

当然、最大の懸念は「いつ壊れても不思議ではない」こと。急場しのぎの“一時復帰”なので、現役バリバリ世代のような活躍は望めない。「一打席だけ」と思って代打に出たら、意に反して延長戦にもつれ込んでしまった――そんな状態なのだ。いつ足がもつれて転ぶかわからないし、エラーしても不思議ではない。

だが、こうした火力発電所の苦境が報じられることはあまりない。のど元すぎれば何とやらで、電力が安定供給されていると、僕らはつい安心してしまう。先の電力業界関係者は「電力供給のピンチは今も続いているんです。早くこの状態をなんとかしないとまずい」と危機感を募らせる。

こうした危機感を背景に、政府は原発再稼働を検討している。だが、原発を不安視する声は根強く、世論は割れている。かといって、いつまでも「急場しのぎ」を続けられるわけでもない。「火力発電頼み」は老朽化のみならず燃油費負担の面でもマイナス影響が懸念されている。今後の電力供給はどうあるべきか? 判断は難しいが、いつまでも先送りできる問題ではない。参院選の争点のひとつとしても注目される。
(篠塚 裕也)
(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびweb R25から一部抜粋したものです
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