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ヴァージン・レコードの“型破りすぎる”成功哲学

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 セックス・ピストルズやカルチャー・クラブ、マイク・オールドフィールドなど、名だたるロックミュージシャンたちが所属した英国の独立系レコードレーベル「ヴァージン・レコード」(現在は米ユニヴァーサル・ミュージック・グループの傘下)の創設者といえば、リチャード・ブランソンだ。
 リチャードの実績はこれだけではない。レコード会社を軌道に乗せると、1984年にはヴァージン・アトランティック航空で航空業界に参入。そこから携帯電話、飲料水、映画館(現在は売却)、鉄道、メディア、金融、さらには宇宙まで、他業種に次々と参入し、今もなおヴァージン・グル―プは広がり続けている。

 この実績を眺めただけでも、リチャード・ブランソンが一体どんな人物なのか興味を抱く人は多いはずだ。『ライク・ア・ヴァージン ビジネススクールでは教えてくれない成功哲学』(土方奈美/訳、日経BP社/刊)は、ヴァージン・グループがどうして成功できたのかを、リチャード自身が明かした一冊。そこには、大企業になると消えてしまいがちな、小さな企業ならではの文化を持ち続けているヴァージン・グループの強みが浮かび上がってくる。

■デカいやつらにも、臆することなく立ち向かう
 リチャードたちは常にデカいやつらと戦ってきた。
 航空業界に参入し、ヴァージン・アトランティック航空を立ち上げた際に、ライバルとなったのはイギリスを代表する航空会社、ブリティッシュ・エアウェイズだ。
 彼らに勝つために、リチャードは大企業にはできないサービスで対抗した。もっと言えば、“大企業では莫大なコストがかかってしまうであろう”サービスだ。例えば、アッパークラス(名前と値段設定は違うが、サービスはファーストクラスと同等)の乗客には、豪華リムジンによる自宅−空港間の送迎を無料で行った。これは、飛行機の保有機が少ないからこそできるサービスであり、大手航空会社で同じサービスをやると、とんでもないコストがかかってしまう。事実、真似しようとした会社もあったが、ほどなくして対抗するのをやめたという。
 そして、今でもこれはヴァージンのユニークなサービスの一つとなっているのだ。

■大きくなっても小さいままを保つ
 ヴァージンは大きなグループだが、リチャードはこう断言している。
 「典型的な大企業病といったものを患ったことがない。おそらく本当の大企業になったことがないためだろう」
 この企業風土は、会社創設間もない頃から、良いアイデアを持っている人は誰でも意思決定に招き入れ、みんなで一緒に働くことを楽しみ、最高のカスタマーサービスを目指す文化を保ってきたからだといえる。
また、会社の分割を繰り返し、従業員の負けん気や危機感を薄れないようにしているのもヴァージン流だ。トレンドはすぐに変わるため、変化を瞬間的に察知する感度が必要だし、小回りが利くことも大事だが、企業が大きくなっていくにつれて消えがちなそれを、ヴァージンは大きくなっても失わなかったのだ。

■(多少過激であっても)遊び心を大切にする
 毎日のルーチンタスクや、誰のためにやっているのか分からない仕事…その中で失われていくのが遊び心だ。そんな遊び心が、ヴァージンにはある。しかも少し過激な遊び心だ。
 ヴァージン・アトランティック航空を設立した当初、彼らが保有していた飛行機は、男気あるボーイングの社員がリースしてくれた1機のみ。広告費も大手に比べればスズメの涙。どうやって広げるのか、リチャードたちは頭をひねった。
 そこから生まれたのが、面白く、かなりストレートで、話題の事件を題材にした広告だった。例えば、ホワイトハウスの首席補佐官が、プライベート旅行で公金を使ってリムジンに乗って批判を浴びたときに、「ヴァージン・アトランティックを予約していたら、無料でリムジンに乗れたのに!」という一度きりの広告を流した。また、宿敵のブリティッシュ・エアウェイズを標的にした広告の中にはかなりきわどいものもあったという。
もし日本でやったら企業イメージを下げることになってしまうかもしれないが、彼らはそうした広告で人々を笑顔にし続けた。顧客に楽しんでもらうために、持ち前の遊び心で自分たちができることをし続けたのだ。

 企業が成長していくにつれて、組織の管理体制が整備されていき、意思決定が遅くなったり、出来ないことが増えていったりすることがある。しかし、そうした壁をヴァージン・グループは次々と打ち破ってきた。そういう意味では、本書は起業家たちやベンチャー企業に勤める人たちだけでなく、大企業に勤務しているビジネスパーソンにとっても大きな刺激になるはずだ。
 行き詰りを感じている人は、ヴァージン流「革新経営」に刮目すべきだろう。そこには見たこともない景色が広がっているかもしれない。
(新刊JP編集部)



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