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ハフィントンが語る対話の可能性

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「世界規模で広がりつつあるオンライン上の対話を促進し、できるだけ多くの声を招き入れる。それが私たちの目標です」

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これは、5月7日に日本版をスタートさせたアメリカ発のインターネットメディア『ザ・ハフィントン・ポスト』の創刊編集長、アリアナ・ハフィントンの言葉だ。2005年に始まったこのサイトは、現在世界7カ国に展開。米国では月間4600万人の読者と800万件以上のコメント投稿数を誇る、最大規模のニュースブログサイトになった。彼女が重視するのが、コメント欄。読者同士の「対話」によって、言論空間を作り出すことだ。

「私がハフィントン・ポストを立ち上げたのは、活発なディスカッションが行われるプラットフォームを作りたかったから。政治からファッション、精神面、健康に至るまで、様々なテーマについて、ヒエラルキーのない平等な話し合いがしたかった。有名人のすぐ隣に名もない若者がいて、ブログやコメントを通じて平等に意見を交換する。ジャーナリストが一方的にニュースを流すだけではなく、記事をきっかけにして“会話”を促したかったの」

ギリシャ系アメリカ人である彼女は、「コーヒーを飲みながら一日中でもディスカッションできるくらい、話すことがDNAに組み込まれている」と語る。ハフィントン・ポストを創設した2005年当時、インターネットによって会話の輪は世界に広がりつつあったが、「話すことはたくさんあるのに、普通の人たちが発信する場所はあまりにも限られていた」。個人がブログで発信したり、コメントしたりすることはできる。足りなかったのは、それらが交差し、多くの人々が集うプラットフォームだ。

「とくに私が注目しているのは、まだ無名の若い世代。彼らはこれからの世界を変えられる。国を違う方向にシフトさせたり、生活スタイルを変革したりする力があると思う。たとえばひと昔前の働き方を振り返ると、長時間労働で消耗し、その結果、家族をないがしろにしてしまうことが当たり前のようにあった。でも今、アメリカの若い人たちの間では、もう一度“成功”のあり方を見直して、権力やお金だけじゃない新しい価値を見いだしていこうという動きがある。アメリカは、変わろうとしているわ」

アリアナは現在、世界7カ国にまたがるハフィントン・ポスト・メディアグループを統括している。世界各国の要人たちとコネクションを持ち、6台のスマートフォンを使い分ける。多忙を極めるキャリアウーマンであるはずなのだが、その口調はとてもおっとりしていて、話していると、彼女が分刻みのスケジュールで世界を飛び回っている人物だということを忘れてしまいそうになる。

「どんなに忙しくても、自分がすり減ってしまうような働き方をしていては、人生は続けていけないわ。私はとくに、睡眠にプライオリティを置いている。もちろんうまくいかないときもあるけれど、できるだけ毎日7、8時間は寝るように心がけているの」

生活スタイルや健康の話題は、雇用や貧困といった社会問題と並んで彼女が積極的に取り上げるテーマのひとつだ。さらに、禅や仏教など、東洋の精神文化にも強い関心を持っているという。

「少し前に、日本の僧侶が若い人たちの相談に答えている本を読んだの。『私たちのアイデンティティは、仕事だけじゃない。もっと多くの価値観があることを理解しないと、心は満たされない』というようなことが書いてあった。今、世界中の若い世代が、深刻な失業問題を抱えている。世界的に見ると日本はまだまだいい方で、ヨーロッパでは失業率が50%にのぼる国もある。そのような将来が見えない状況のなかで、仕事や結婚に向き合うのは怖いことかもしれない。けれど、もし『お金がないから踏み出せない』と考えているんだとしたら、その価値観は、変えていく必要があるんじゃないかしら」

日本版のハフィントン・ポストが読者層のメインに据えるのは、30代~40代の団塊Jr.世代だ。最後に、我々日本人は彼女の目にどう映っているのかを聞いた。

「経済的に厳しい状況は変わらないけれど、欧米の若者って、若いうちから起業しては失敗して、起業して失敗して…と繰り返す人が多いの。それに対して、日本の若い人たちを見ていると、繊細であるがゆえに“失敗”に対する恐れがとても強いように感じる。でも、今は成功している人たちだって、過去にはいろんな失敗を繰り返して経験を積み重ねてきているものよ。リスクを恐れず、人と世界を信じてほしい。そして、ぜひ話し合いましょう。あなたたちの考えや感情を、私たちに共有してください」

(宇野浩志=取材・文)
(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびweb R25から一部抜粋したものです
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